落とし物箱

出会っちゃった人たちの話がしたい

俺のヒュンダイ馬鹿にするなよ 〜GHOSTおまけ〜

 

 

 

 

 

GHOST THE MUSICAL 大千秋楽おめでとうございました!

 

ああ、ついに終わっちゃったんだな… 楽しすぎた夏。私の夏はカールさんと共にありました、と言っても過言ではないと思う。平成最後の夏最高でした!!!

 

私の予定ではゴーストの感想文で終わりにしようと思ってたんですけどカールさんへの思いをつらつらと述べていたら大変な文字数になってしまったのでこのタイミングで書くことにしました。結局GHOSTのエントリ3つ書いても飽き足らずに4つ目、おまけです。カールさんのエントリおまけにしたくないけど長くなりすぎたからそれくらいの気持ちで読んでください、ということでおまけ。

 

今までのまとめはこちらをどうぞ

GHOST 〜ほとんどカールのお話〜 - 落とし物箱

GHOST 〜アンサンブルキャストさんたちのお話〜 - 落とし物箱

GHOST 〜奇跡がたくさん降ってくるお話〜 - 落とし物箱

 

 

 

 

 

 

 

 

カールさん最高だった、この期間でいろんな表情をたくさん見せてくれた。ありがとう!カールさんのお陰で楽しい夏になりました!

 

カールって毎回見せる顔が違って、今日のカールさんは…とたくさん考察してた。その時間がすごく楽しかった。出演時間的にはそこまで多くないし、物語のキーになるシーンしか出てこないんですけど、バックボーンが語られないからこそ出てきた時のセリフの言い回しだったり、仕草、目つきでこんなにも解釈が変わるものなのかとたくさん驚かされました。 それにしてもクリエ公演から全国ツアーを巡って、と言っても私は全国ツアーは刈谷しか行けてませんがあまりにもカールさん変わりすぎてて驚きました。数えきれないカールさん見たぞ。もう後半戦に至ってはカールさんガチャでした。全部まとめきれてないけどまとめて考察していきますね。

 

 

【目次】

 

 

  カールの人間らしさとは

人間らしさってカールの中ではかなり大事なキーワードっていうか、ポイントだと思ってて。人間らしさが物語の中でどこまで持つか、それがカールの中にどこまで、どれくらい大きくあるかで物語は大きく変わると思ってる。少なくとも私の中でのGHOSTという物語は大きく変わってた。

前半戦では最後まであった人間らしさが、後半になるにつれて物語の中で途中からなくなっていって、少しずつ自分から黒に染まっていって最後にはどんなに塗り替えても何色にも染まらない真っ黒になっていった。

初日近辺のカールは人間らしさが最後まで残るカールで弱くて1人で立っていられないくらいぶれぶれだった。黒に染まれない、染まるしかなかった人だった。だから銃口に迷いがあったし、というか銃をモリーやオダメイに向けることすら仕方がなくやっているようで、サム、モリー、オダメイのことも最後まで見れてた。このままだとカールが自分の運命とみんなのこと思う気持ちの間で揺れすぎて倒れてしまうんじゃないかと思った。またあとで詳しく書くけど誰よりも孤独で誰よりも寂しがりやなカール。このまま千秋楽まで突っ走ってたら誰よりも自立できなくて地に足つけて立ってられなかったと思う。それくらい足もとふらっふらだった。

 

 

 

  カールの計画とその中に見える弱さ

公演を重ねる度に、サムとモリーとの仲の良さは変わらない(というよりはより仲良くなってる)ままで計画的にお金の横流しを進めているような表現の仕方に変わっていってたのがカールの目の変化だったり、モリーに対する居方、サムが死んでからの動きからひしひしと感じられた。後悔しながら、後ろを向きながらも悪事を進めていたカールだった前半戦から、サムを失いはするものの、それはそれ。自分に利益のある悪事に関してはやり遂げなければならない、って冷静になってるところが見えるようになった。

いちばん感じやすいのが遺品整理してるシーンだと思っていて。サムのアドレス帳見つけて"あっ!"っなるところとか、アドレス帳のめくり方も普通にめくっていたのが焦りを感じるめくり方に変わってたり、モリーを散歩に連れ出す言い方も、電気消した後一回怖い目になって部屋を見渡すカールも。全部が冷静に事を進めていっている表現だった。面白いなあ。同じ役で、セリフは変わらないのに、言葉の抑揚のつけ方と表情だけで全く裏にある事情が変わってくる。

後半戦入ってから、カールはサムのことを超えたいけれど超えられない存在であることに気がついたんですよ。遅すぎる気づきかもしれないけれど、このタイミングで気付けて良かった。怪奇現象でサムの存在を知ったカールはサムにお金を懇願するんだけど、脅して懇願するっていうよりはボロボロになって泣きそうになりながら懇願するの。ずっとなんであんなにボロボロでぶれぶれなんだろう、って思ってたらいちばん知られたくなかったであろう人に銀行のお金を横流ししてること知られてしまった、そしてどこかでサムに甘えてる気持ちもあった分いちばん止めて欲しかったけどいちばん止めて欲しくなかった人に計画を破綻させられることがわかったから。サムのアカウントを使っていた理由を色々考えてみてた。サムは近くにいた存在だったからこそログインするデータを知りやすい状況にあったこともあるけどそれ以上にサムを超えたいカールには彼のアカウントを使う以外の選択肢はなかっただろうし、それと同時にどこかでサムに気がついてほしかったSOSでもあったんじゃないか。って結論に達してしまった… これってあまりにカールのエモさ爆発してない?大丈夫?私は大丈夫じゃない。でもこの行動がSOSだってことをカール自身が気がついていないのがまた必死さを出してる。

個人的にはサムを殺してしまうことはカールの計画にはなかったと思っているので、あれは事故だったしカールの「あれは誤解なんだ」って言葉は本心でサムを失った悲しみは大きい。だからあそこまでウィリーへ怒りをぶつける。まさか自分のした横流しが原因で大好きだったサムを死に追いやることになるなんて思ってもいなかった。遺品整理してる時のあの寂しそうな顔。あれはカールの優しさに溢れる悲しい表情で、また親友を失くしてしまった自分に苛立つ悲嘆に暮れている表情でもあった。サムを失くしてしまったことはずっと後悔してるし寂しくてたまらないのが伝わってくる。

 

 

 

  勝手に見出した動機

さて全然話が変わるんですけどGHOST期間中にメタルマクベスdisc1*1を観に行ったんですよ。1幕の夫人がランディに「(レスポール王を)やるのよ。何度も話し合ったじゃない。」の一連のシーンをみてカールの見えないところでの葛藤というか、黒くなる始まりを見ている様な気分になってカールに重ねて見てしまった。カールは薬の売人と話をし始めたくらいからずっと自問自答していたんじゃないかと思ってて。そして実際に銀行のお金を横流しすることを決めたときにも何度も計画を立てては練り直す作業だってしてたはずだし自分自身ともずっと話し合っていた。そしてこの計画を実行する大きな引き金となっているのが「これをしないと自分はサムに勝てない。なによりこれ以上上にいけない」とカール自身が思っていたこと。見栄っ張りなカールだから、例えサムだとしても自分の近くにいる人が自分より上にいることが許せなかった。黒くなってしまった人にだって黒く染まる始まりがあるわけで、そこを覗かせてもらってみると考えてることは悪いことでしかないんだけど、やるしかなかったんだろうな、カールには、と思わせるだけの根拠が十分見えた。だから最後に足もとふらふらなカールを見ると夫人のセリフを思い出してしまうんだ。小さい方の箱にしておけば良かったね。そして教えてあげたくなってしまうんだよ。君には抱え切れる大きさの箱じゃなかったんだよ、って。小さくなって、誰かに支えてもらえないともう立っていられないのに、支えてくれる誰かは気がついたら周りに誰もいなくなって、1人"孤独"になってしまった。ただこれ、カールさんとメタルマクベスdisc1*2に取り憑かれた、全部私の妄想!だから実際のところは、知らん。答えは平間くんに聞いてくれ。ただこのカールさんのヒントはメタルマクベスdisc1の中にあるから。いや、知らんけど。(これ言っておけば何言っても許される魔法の言葉だと思ってます、すいません)私はメタルマクベスdisc1にカールを見てしまった。だからカールのおたくはメタルマクベスdisc1が映像化された時にでもみてください!!そしてその時また感想が聞きたい!!ちなみに今回ってるdisc2、はちゃめちゃだけど最高で自分の欲にしか興味のない真っ直ぐに黒く堕ちていくロリ夫人が見られるから櫻子ちゃんとヒール役が少しでも好きな人は黙って観に行くべき!とにかくスカッとできて面白いぞ!!どうも、メタマクの虜になり始めたどこぞの回し者でもない人からの宣伝でした!ちなみにdisc2にカールさん要素はないのでカールさんを感じたかったらdisc1を見てくれ!!よろしくお願いします!!!

 

 

 

 

  とりあえず上げておきたいカールの好きなシーン

カールの好きなシーンはたくさんあるんですけど、一つだけ悔しいのが仕事終わりの凛子さんの「お疲れ様です」に「今日もきれいだよ」的な言葉をかける日を見られなかったことです。レポで見かけたんですけどさらっとそんな粋な言葉を言えるカール絶対格好良いじゃないですか。見たかった…

これ以降上手くまとめられなかったから箇条書き。これでも結構絞ったんだよ

  • OPのサムとモリーの今ここで。中華買ってきたカール、サムの家入る前にしっかりインターホン鳴らしてるところ
  • 飛行機の墜落事故の表現がオーバーになっていったのが可愛いくてねー、ドーンドーンシュッバーン!
  • 「俺のヒュンダイ馬鹿にするなよ」。見栄っ張りなカールさんの誇らしげなヒュンダイ自慢、あまりに可愛いが詰まりすぎてる。いつか100万ドル稼げるようになったらランボルギーニ、運転してる姿見せてね。
  • お葬式のシーンで下手から出て歩くカールが手を息で温める仕草してたのがめっっちゃ好きだった!!!もうこれは完全に好みの話!これ毎回期待して下手待機するんだけど1回しか見られなかったの悔しい… 何回かやってたのかな?もっと見たかった…
  • 今ここでで、「君を心配する人たちがいる。僕も。」の間で挟んでくる「ほら!」って言いながらモリーの肩を叩くところ。格好いい。

そしてカールの演出でいつも面白いなと思ったのが同じセリフがシーンで全然違う意味に感じるところ。

この仕事はナンバーゲーム すぐ変わる数字のゲーム やりがいがある取引の醍醐味

大きな金動かす取引は刺激的 ワンタッチだけで何百万操る

カールが仕事場で歌ってる時には仕事へのやりがいみたいなことを感じていたんですけど、サムのアドレス帳を取りに行った後に歌うと悪いことをしている時の黒いカールが楽しんでいるように、そして現実を改めて自分に言い聞かせているようで。歌う状況が違うだけで同じ歌詞なのにこんなにも変わってしまう。やっぱり大きなお金動かしてるの楽しかったんだろうな、仮に短い期間でも自分の持ってるアカウントに$10,000,000入ってたらそりゃテンションも上がるよな。どんなに黒いお金でも。オダメイがテンション上がるのも感触を最後まで味わいたかったのもわかる。だってただの一般人、そんな大金持つことなんて絶対ないから。

 

 

 

  誰よりも寂しがりやで誰よりも孤独な人

人生は突然変わる。毎回これがあまりに格好良すぎて最高だった。なによりまず平間くんの引き締まったお身体、あんまりに美しいすぎる。あのシーン残してくれたダレンさんには感謝しかない。引き締まったお身体も最高なんですけど、コーヒーこぼすときにTシャツを引っ張る右腕の筋の美しさったら。どうも、平間くんの腕の筋大好き人間です。ちなみにラストの拳銃構える時にも綺麗な腕の筋がみられるよ!最高に興奮できました。そんなカールさん、携帯、文字書くときは左手なんですけど、パソコンの操作と拳銃構えるのは基本右手で実は両利きなところ推せるポイント。よろしくお願いします。

あ、話が逸れてしまった。ここでも色んな表情を見せてくれた。モリーのことを心配して傍にいてあげようとする優しさをたくさん感じる日もあれば、モリーに恋愛的な好意があった上で口説く気満々な日もあるし、ただモリーを遠ざけないように近くにおいておこうとする日もあった。でもどの日にも共通して感じていたのはカールは1人になるのを恐れていたこと。時々見せるモリーへの優しい眼差しの中にみえる寂しそうな目。サムのこと後悔してるけど現実は進んでいく。後ろを向く時間はカールにはなかった。サムを死に追いやってしまったことはもちろん、カフェでモリーの話を信じられなくて突き放す様なことを言ってしまったり、モリーの家からアドレス帳を盗んだり、後ろめたいことたくさんしていく中でどこかで今までの状態が続かないことを感じていた。そこに置いていかれるのがカールなことをきっと本人は誰よりも早くにわかっていたから必死にモリーにしがみつこうとしていた。「僕たちの友情は永遠だと信じてた。」誰よりも寂しがりやなんだけどそんな弱味を人に見せられないカールの必死の叫び。これは頭で理解しているというよりは、心の叫びのような直感的な言葉。ただ遠くを見つめて信じてほしいよっていうカールの悲痛な叫び。このあたりから少しずつ壊れ始めていたのかもしれない。

モリーに必死にしがみつこうとしているカールのバックハグしながらの悪い目。ここにはモリーを落とそうとしている悪い目のときもあれば、これからの行動を考えている、企みに満ちた目のときもあった。全部終わったらモリーに前を向いてもらおうと、自分が少しでも幸せにしてあげようと思っていたりもしたのかな。そんな腹を括ったようにも思えた。知らんけど。

 

 

 

  見えてくる狂気

怪奇現象のシーンもまた様々。前述した、ボロボロになってサムに金を懇願する日もあったし、でもそれだけではなくて。どちらかと言うと"モリーを殺す"と脅す方が強く感じる日もあって。ただどちらにせよサムがいる事実をカールが知るという大切なシーン。今までの悪事が全てサムに知れてしまって、そしてサムが危害を加えることも可能なことがわかる。だからカールは必死になるし焦るしだんだん周りが見えなくなる。

モリーの家に拳銃を持って小切手を探しに行くところ。後半戦、モリーの家でオダメイの姿をみて、霊能者だってわかった時から狂い始めるカールがあまりにも狂気に満ち溢れていて、完全なるクズへと変貌していく。最高かな。小切手なんか知らないよ!って言い張るオダメイに向かってクソババア!って叫び返すカール。なにこれ、最高に楽しい。

自分の計画がぼろぼろと掌の上から目に見えるように崩れていって、超えたかったサムのことも超えられずにモリーにも見せたくなかった姿を見せてまでお金に狂っていく姿。お金しか見えなくなってお金に翻弄させられるカールがあまりにも小さくなっていく。

現実に混乱してて、カールに「あなた何をしたの?」って聞いてくるモリーにも、「君に話してもわかってくれないもんな!」って返す日のカールの"孤独"ってすごく強いんですよ。もうカールは誰のことも信じられなくなって、すがる場所がお金しかない状態。だから自分からモリーのことを突き飛ばして遠ざけることしかできなくなった。君に話してもわかってくれないもんなって誰かに話をして理解してくれる人が傍にいてほしかった、ってことじゃないですか。でもそんな人はもうカールの傍にはいなくて。寄りかかれる、支えてくれる場所がもうない。どこかに寄りかかっても支えてくれるものがないから倒れていってしまう。

またある日は「邪魔だ、」って突き飛ばす。この日はもうモリーが見えてなくて本当にお金の亡者になったかのように視界にモリーが入っていない。心の中でひたすら"金金金金金"って唱えてる声が聞こえてくるくらいの怖さがある。

だけどそんなカールでも人間らしさは残ってるから、モリーを人質に取ってから、モリーが逃げた時には「モリー、待ってくれ、行かないでくれ、」ってモリーを必死に追いかけるし最終的にはモリーにまで助けを求める日もあった。サムに追い詰められてからちゃんとした本音が出ると私は思っているので、ここで助けてくれ、って言葉が出てくるとあまりにも弱いくて小さい人だったんだな、と感じるんです。ずっと誰にも寄りかかれずに1人で大きな荷物を抱えているのが辛かった。そんなカールの出てくる小さなでも大きい本音。

最後、ゴーストになってから、人(ゴースト)の間を掻き分けて出てくるんですけど、そのゴーストたちの哀れむような、見下すような、差別をしているような目を向けられて「そんな目で見るなよ」って呟くように、避けるように出てくる。ここでカールの孤独が大きくなる。ただこんな結末になってしまったのはカール自身が背負えると思っていた荷物が実際にはあまりにも大きすぎて、結局背負いきれなかったから。サムが死んでなかったら、サムがオダメイに出会わずに時間さえすぎていれば、背負いきれる荷物だったのかもしれない。けど実際はサムは死んでしまうし、オダメイにはサムの声が聞こえるという奇跡が起こってしまうから。自分の見えないところで予期せぬことが起こると全ての計画だって崩れていってしまう。結果背負いきれていたはずの荷物が大きくなりすぎてしまって最悪のラストになる。根が悪い人ではないだけにサムも恨むに恨みきれなかったんだろうな。だからこそ「サム、助けてくれ!」とカールから差し出された手をサムは取るんだよ。サム、お前ってやつは…格好良くできすぎている。いつかサムがカールのことを救えたら、これでもかってくらい殴っていいし好きなだけ悪口でもなんでも並べていいけどその後にはカールの言い訳も聞いてあげてください。そしてこれからのモリーを2人で見守ってほしい。ただこれだけ言ってもやっぱり、クリエ千秋楽だけは、わからん。

 

 

 

 

と色々書きましたが、クリエ8/30マチネで革命が起きた。ハチテンサンゼロ、カールさん革命事件。

 

今までのカールが全て嘘だったかのように、ただただ金が欲しいだけの真っ黒の人になっていた。どの公演でもクズにはなるけどどこかに少しだけでも人間らしさを感じていたのに、この公演だけは全てが違った。完全なる悪であって、誰がどう見てもカールはクズだったし計画を実行していく冷静さも、計画が崩れて狂っていく姿まで全部が全部真っ黒に揃ってた。8/30マチネしか見てない人がいたら、すごくスッキリできるゴーストだったと思う。変にカールに感情移入することなく見ることができたと思う。羨ましい。今までのカールさんを知っていると革命事件だったと言わざる得ない。この日のカールは私がいちばん見たいと思っていたけど平間くんのカールからは絶対に見ることができないと思っていたカールだっただけに正気では見れていなかった。でもものすごくわくわくさせられてドキドキさせられて楽しかったんだ。革命を起こしてくれてありがとう、と感謝の気持ちしかない。※この日について興味ある方いましたらもう少し長めにお付き合いください。 

 

 

 

その前に。

  もう少しだけさせて、刈谷公演の話

刈谷公演2日間がまた新しいものもってこられて、ここにきてまだ引き出しがあったか…と溜息をついたと同時に息をするのも忘れるくらいのすごいもの見せつけられたから話させて。ここまで凄いもの見せられるなんて思ってもいなかったので(ごめんなさい)東京終わってほとんどまとめ終わってた状態に追加する作業がめんどくさくなったのでここでまとめます!!!

今までは人間らしさがあったカールさんがついに真っ黒にる訳ではなく、完全に狂気がカールを呑み込んで別人になってしまった。そんな解釈ありかよ!と叫んだのはいうまでもない。それでもカールの中には人間らしい弱さだったり葛藤もたくさんあるからどこまでクズになって狂気に満ち溢れてても憎めない。

刈谷公演をみて初めて感じたことがあって。今までカールが悪事を行う時って、カール自身が自分の中にある狂気や黒い部分を操れていたのが、サムに自分の計画を崩されることがわかって操れなくなるっていう印象だったんです。操れなくなったカールは自分の思うがままに最短ルートで小切手を回収できる方法としてモリーの家に拳銃を持って乗り込む。ただ刈谷の時は操れなくなるんじゃなくて、カールの中にある狂気や黒い部分にカール自身が呑み込まれてしまっていた。狂気がカールを呑み込むきっかけになるのが怪奇現象がサムからの仕業だとわかったところ。この時のカール、すごく怯えた表情をしていた。怖い、信じられない、ありえない、とか色々な感情が織り混ざってはいるんですけど、その時にいちばんの敵がサムなことを理解して、その敵に怯えるような表情になって。そしてサムから殴られることによってついに隠して(操れて)いた狂気の部分が表に出てきてしまった。モリーの家に狂気と化してしまったカールが乗り込む。ドアを開けてくれ、と頼むカールの口調は何かに取り憑かれたかのような、言葉を選ばずに言うとイカれちゃってる感じ。ついに薬にまで手を出してしまったか?って思うような変貌ぶりの、あまりに取り乱すような口調で。モリーの部屋に入ってからも、オダメイのこと見る前に宙を見ながら「あんた誰だ?」ってそれからも怒鳴りながら食い気味でオダメイに小切手を出させようとするカールはもうカールじゃなかった。今まで自分でコントロールできていた狂気がコントロールできなくなって、その狂気、黒い部分全てがカールに覆いかぶさってしまったんだ。

カールが死んでから、ゴーストの間を通るところ。「そんな目で見るなよ」を言い始めた頃はカールの孤独の大きさを感じていたんですけど、これ刈谷に入ってから聞くと、自分を味方しない人たちを逆に軽蔑するような言い方に聞こえた。今までやってきた全ての事は自分の利益のためだし、他の人がカールと同じ境遇にあったらみんながそうするとカールが思い込んでる。だから、"そんな目"で見るゴーストたちに向かって軽蔑する。結局最後までカールは狂気に満ちたままだったんだ。ただ闇に引きずり込まれる時、カールの「サム助けてくれ!」って言葉に手を差し伸べるサムの行動が狂気に覆われてしまったカールを戻すきっかけにもなっていて。このサムに助けを求める言葉はカールにとって咄嗟に出た言葉で、カール自身がまさか自分を殺した黒幕をサムが助けるなんて思ってもいなかった。そこに手を出して助けてくれようとしてくれるのがサム。このサムの行動によってカールは本当のカールに戻った。そこからは"人間らしく"地獄に引きずり込まれる怖さをカールは感じていたし、ずっと「サム、助けてくれ!」って助けを求めていた。最後にカールに戻ってくれて良かった。

って長々書いたけどこれ秋元モリー千秋楽の日の話ね。

次。大千秋楽のお話。

この日はウィリーの家でとんでもないセリフが出てきた。「早くあの金を送金しないと。俺たちは死んだも同然なんだ、俺たちの家族も。」え、、ちょ、カールさん??大千秋楽にして"俺たちの家族も"って… この瞬間1幕の記憶が全部吹っ飛んだ。俺たちの家族もって追加セリフがあまりにもカールの焦りを助長させているのと背負っていたものが想像していた以上に大きくなりすぎてる。家族の命まで背負ってやってたの… 薬の売人に自分だけではなく家族の命まで人質に囚われていた。今までなかった"家族"というワードって本当に大切にしていたからこそ口にしていなかったのかもしれないけれど、それを口にすることで改めて事の重大さに気付かされる。そんなパワーを持ってると思うんです。あまりにもこれがパワーワードすぎたんだよ。

この日のラスト。カールが死んでから、軽蔑をするような目を向けるゴーストたちに「お前らに俺のなにがわかるんだよ」って放って最後には落胆したかのように「やるしかなかったんだ」って呟いたんですよ。千秋楽でこの"やるしかなかったんだ"って言葉が出てくる平間くんの対応力の凄さにやっぱりこの人やっぱりやばい人だ。って言葉しか出てこなかった。最後の最後でこんな人間らしさを持ってくる平間くん。恐ろしい。最後に見せてくれたカールの姿は家族想いで優しさのあるカールさんでした。薬の売人に家族まで人質に囚われていた、それはもうやるしかなかったんだ。っていうよりやる以外の選択肢はなかった。OPであんなにはしゃいでいる裏で、カールの手には抱えきれないくらい大きなものを抱えていたんだ。この流れにのってしまったカールはもうお金を作るしか生き延びる方法がなくて、死んだからも「金をくれ、金だ、金をよこせ」って言葉が出てくる。こんなに大きなものがバックにあって出てくる「お前らに俺の何がわかるんだよ。」多分誰にも分かることはできない。自分と、そして家族を背負って戦っていたカール、たくさんの葛藤の中でもがいてもがいて結局最悪の結末にはなってしまった訳だけれども。ラストサムに呼ばれてからも笑いながら「なぁ、サム、違うんだ、やるしかなかったんだよ」って最後の最後までカールの背中には大きな荷物があった。サムのことを思うより、自分のことより、気にかけていたのは家族のことのような気がして。こんなにも"やるしかなかった"んだと思わされた日は初めてだった。全ての計画が破綻して、自分の命まで犠牲にしたんだから家族だけは守れてるといいな。

 

 

 

たくさん書いた。ここまで読んでいただきありがとうございます。

楽しくてたまらなくて、こんなにたくさん舞台の上から殴られるなんて思ってもみなかった。そんな平成最後の私の夏。絶対忘れない。

 

全43公演お疲れ様でした!!!

 

 

 

 

 

以上、現場からでした!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜おまけのおまけ〜

\ハチテンサンゼロカールさん革命事件のお話/

 

私の個人的に大好きな8/30マチネのカールさんに宛てたただのファンレター(と忘れたくないためのレポ)。よかったらお付き合いください!

 

いつもとカールの雰囲気が違うかも、と思ったのはサムの遺品を整理してる時。モリーを散歩に連れ出すんですけど、いつもならモリーのことを気遣うように誘うのが、この日は自分の思い通りに動いてくれないモリーに対してキレたんですよ。モリーのことを気遣って散歩に連れ出してたんだとずっと思っていたんだけどこの日のカールの苛立ち方をみていて、ここから計画は全て動き出していることがわかった。このカールの行動には、モリーの家にウィリーを行かせる(忍び込ませる)目的があって、モリーを家から出さないといけなかったという計画の大事な1つのピースだった。だからカールは家から出ようとしないモリーに苛立つし、家出る前に電気を消してから鋭い目つきで部屋を見回すんだ。いつも誘い方がすごく優しいから全然気がつかなかった。これわかってからこのシーンで優しく誘うのみるとカールが怖くなる。優しさに隠された奥にある恐ろしさ。全くその恐ろしさが見えない、見せないからこそ余計に怖くなる。モリーを家から出せるんだったらアドレス帳の場所ウィリーに教えてあげなよ、なんとか帰ろうとするモリー引き止めようよ、とか思うことはまたたくさん出てきちゃうけどそこは置いておくことにする。

ウィリーの家にカールが押しかけた時も、カールはいつもに比べると冷静だった。胸ぐらは掴むしクソクソ言いながら怒るのは変わらないんだけどね。ウィリーも呆れちゃって鍵投げちゃうし。そんなこと言いながらもウィリーはカールの駒で、そんな駒に結局は振り回される形ではあるんだけど。そのままアドレス帳を探しにモリーの家にカールが押しかけて、アドレス帳を見つけた時、悪い笑みを浮かべながらながら「やったぞ!」って静かにでもしっかり言ってて震えた。カール怖すぎ… 基本的にはここ、泣きそうになりながら「やったぞ!」って言ってたのでほんとに人が違ったんだ。いつもならこのあたりから現実の自分と理想の自分との間のギャップに戸惑いながらもカールは現実に向かっていくんだけど、この日はしっかり現実が見えていて、だからこそサムのことは見えてなくてお金のことしか考えられないカールだった。そこからのこれが人生。こんなにこれが人生でモリーを意識して感じたこと初めてだった。この日はカールはモリーに恋愛的な好意がしっかりあったし、自分じゃなくてサムを選ぶモリーに対してカールは全然納得していなかった。「悲しいよ、僕たちの幸せはどこに。」モリーとの幸せが待っていないことをカールは分かっている。そしてサムに対する悔しさとかどこかやるせなさまでもこれが人生で感じたのが初めてで、全部わかっていてもできることが限られているカールが切ない。自分の幸せは来ないことがわかっているカール…

そして今ここで。モリーの気持ちは動かないことはカール自身わかっているのに、この日は本気でモリーのことを落とそうとしてた。Tシャツをモリーに手渡す時にモリーの手を握るんですよ。すぐに離されちゃうんですけど。いつもなら片手だったのにこの日は両手で握ってて。モリーから借りたサムのシャツも、ボタンを閉めようか迷ってやめたんですよ。ちゃんと閉めようとしてたのに!やめたの!ただでさえこのシーンの破壊力の凄まじさったらとんでもなく恐ろしいものなんですけどね、初日以来のシャツ全開で… ほんと… あれ… なんだったの…(過呼吸) それも自分で閉めるのやめよう、って決めて何回か頷いたのあれ全部含めて反則!(褒めてる) ここでカールの本気を感じた。いつもなら少しだけカールの中にサムがいるように感じるけどこの日は全く感じなかった。サムのことガン無視でモリーのこと本気で口説いてるの初めて見た… やっと巡ってきたモリーを落とせる最初で最後のチャンス。そのこともわかっていたからこそカールはあまりにも優しくて、よりかかりたくなって頼りたくなった。何よりとても格好良かった。こんなにカール格好良いって思ったのもまた初めてで。でも、この日がいちばん寂しそうな目をしてた。自分のしていること全部わかった上でモリーのこと口説いていた、それがわかるとただただカールが切ない。最後の別れくらいにどこかで感じていたのかもしれない。だからこそバックハグの悪い目からは雄の悪さが出ていたんだろうし、写真をサムに落とされるまではいつも以上に幸せな空気が流れていた。モリーもカールにいつもより甘えてるというか、流れに任せている感じがして。しがみつく場所がなくなったモリーが探していた場所だった、居心地の良さはサムとは違うものの寄りかかれるくらい大きな壁になってた。この2人の幸せな空気の裏側で渦巻いているカールの黒い部分は大きくあった。最悪のことが起きてしまった時にはいつでもモリーを切り捨てられる準備もできていた。それくらいの覚悟はカールの中にあった。モリーを想う気持ちと自分の利益。天秤にかけたら自分の利益の方が重かったんだ。

モリーからの電話でも、いつもなら焦りからほとんどモリーの話に相槌しか打たないカールがしっかりモリーの言葉に返事もしてたし余裕があった。ヒルダー呼ばなくても良かったんじゃないかと私は思ってるよ。

怪奇現象のシーンでは冷静さがありながらも怒り狂っていく姿がカールの悪の部分が一気に憑依したかのように目も行動も心も全部がぼろぼろと真っ黒になっていった。計画の崩壊がわかったカールはついにお金だけしか見えなくなったんだ。誰に何を言われても、もうお金しか見えない。悪戯電話かけられて、ファイル落とされて、イス倒されて、怒り狂ってついにパソコンのキーボードまで投げようとしたくらい。パソコンのキーボード投げるなんて今までのカールじゃありえないから。この怪奇現象がサムからだってわかると笑いながら静かにモリーを人質にとってサムを脅していく。これはもうサムとの駆け引きだったし自分には見えないサムに対して取引を持ちかけていた。だからこそ冷静になれるし笑っていられた。

そのままモリーの家に押し込む。いつも以上にキレてるし家に入って机の上に小切手がないかの探し方もお金を貪るようで。オダメイ見つけた時にはあんなにキレて激しかったカールが一回落ち着くの。狂気に満ちた笑みを浮かべながら「あ〜、アンタがくそ霊媒師か。は〜良かった〜」って階段降りてオダメイに拳銃を向ける。途中のモリーの声なんか聞こえずにただ邪魔だ!って突き飛ばして。オダメイに小切手なんか知らないよって言われたら一気に怒りが沸点に達して「俺に嘘をつくんじゃない」ってすごい勢いで怒り始める。モリーに逃げられた時もモリーが自分の手からいなくなるというよりはお金のための人質がいなくなってしまった焦りの方が大きくて。どこまでも金にしか目がない。サムに追い詰められて死んでからもゴーストの間を掻き分けて出てきた時の一言目が「金だ、金をくれ、」だった。どこで道を踏み外してしまったのか目の前にあるのはお金だけで自分の手元に金がないことがありえないと思っているカール。サムに呼ばれて気がついても「俺は死んでない。俺はここだ!」って。自分のことしか見えてない。サムにも違うんだ、って言うんだけどなんだろう、この日だけはサムに言い訳をするっていうよりも自分の計画が崩れてしまったことに対して違うんだ、って首を振っているように感じて。最初から最後まで金にしか目がないクズ野郎だった。それでもカールに助けを求められたら手を伸ばしてくれるのがサムだから、どんなに堕ちたいっても昔のカールが忘れられなかったんだろうな、サムには。

そうそう、この日OPのアドリブでサムに対してカールが「俺ばっかり仕事してさ〜」みたいなこと愚痴ってたんですよ。これってよく考えたらこんなに努力してる俺がどうしてお前には届かないの?みたいな風に感じられてしまって… 鳥肌立った… いやそんな怒ってるような言い方っていうよりはふざけているような言い方だったんですけど仕事に対しての愚痴をOPから漏らすってどんなに仲良くしていても嫉妬してるの感じてしまうしなんならこれ物語がまだ始まる前くらいの所だからなおさらなんか色々勘ぐってしまう… 私の考えすぎなのはわかる。知らんけど!って大声でいいたい。カールはサムに大きく嫉妬してた。知らんけど。って私の心の声。聞こえて!

この日は始めからサムに対して嫉妬が大きく渦巻いていた。サムを超えることが自分を大きくすることにあると思い込んでいるし、サムを超えてからがスタートだと思っていた。まだスタート地点にすら立てていないカールは焦りがあったからこそ汚いことを企んでしまった。どんなに黒く汚く堕ちていってしまっても結局は君には背負える大きさの箱ではなかったことには間違いない。カールにはカールの良さがあったのに自分では気がつけなかった。カールのことを認めてる人はたくさんいたし、頼られてだっていたけどそれに気がつかなくて、上だけを見すぎて"今"の自分を見失ってしまった。そして気がついたら黒いことをしてでも上に行きたくなって止められなくなった。自分のことを立ち止まって見て考える時間があれば周りに誰もいなくなることもなかったのかな。ただその時に周りにいたのがサムとモリー。その2人が人生の中でもとても幸せな時間を過ごしているのを目の前にして、自分の幸せと比べてしまった。でなきゃあんな悲しいラストにはならない。小切手を必死に探す姿はどこか自分の幸せな未来を探しているようにも見えて。ラストのシーンはカールの怖さに震えるけどそれと一緒に悲しく切なくもなる。いつか幸せな未来がカールに訪れるといいなあ…

8/30マチネのカールさんはクズを極めてたけど人間らしさが前に出てこない分今まででいちばん悲しく切ないカールさんでした。

前述した通り、平間くんのつくるカールからは絶対に見られることがない!と思ったいたカールだっただけにこの切なさ悲しさを全部背負った上でそれを表に全く出さないカールが私は好きです!!!

 

以上8/30マチネカールさんへのファンレターでした!!

 

 

 

 

*1:豊洲のステージアラウンドで公演されていた作品。今はdisc2が回ってるよ。

*2:disc2は夫人が痛快爽快に悪への道まっしぐらだったから解釈は確実にdisc1のがカールに見えてくる