落とし物箱

出会っちゃった人たちの話がしたい

たくさんの愛をもらったミュージカル ロミオ&ジュリエット




どうも!キャピュレットの女になりたいモンタギューの女は無事に亡霊になりました!

ミュージカル ロミオ&ジュリエット、ほんとうに素敵な作品でこの時代に生きてて良かった!って思える作品にまた一つ出会えました。ありがとう、ロミジュリ。

無事に大千秋楽を終えて、キャスト、スタッフのみなさんと一緒に私も走り抜けた1ヶ月半だったなー!この現代なんだけど現代じゃない、過去の話のようで過去でもない未来でもない新しい次元*1の中に1ヶ月半いたような感覚で、時間軸もはっきりしないから初日は遠い昔のように感じるのに公演が終わるまでは一瞬だったロミジュリ期間でした。チケット戦争に敗北し続けたのに気がついたら手元にチケットが増えてていっぱい行った。チケットビスケットシステム*2が無事に機能した。さすがに勢いで地方増やしたのは馬鹿だったと思ってる。疲れはちゃんと抜けませんでした。それでも後悔なんてしてなくて、ほんとにほんとに楽しいロミジュリ期間だったんだ!




以前書いたブログはこちら。
<戯曲を読んだ後のお話>

<マーキューシオとティボルトのお話>








長い長い卒論という名の感想文。簡潔にまとめることができないおたくは各キャストについて語りたい!と思ったらとんでもない量になったので目次を作りました。目次から飛べますので読みたいところにとんでください!全部読んでたら、目が疲れちゃうから!よろしくお願いしますね。



今回のWキャスト、観劇の回数比較としてはこんな感じ。
平間 大貫 > 古川 葵 廣瀬 > 木村 > 三浦 > 大野 渡辺 > 木下 > 生田 黒羽 宮尾
役解釈もしてるから、見た回数多い方に引っ張られちゃってることもあるかなと思ったので記載しておきました。




【目次】



ミュージカル ロミオ&ジュリエット

2017年版ロミジュリの再演として公演された今回の2019年版ロミジュリ。私は2019年版が初めてみるロミジュリだったのですが、出会えたロミジュリが2019年版ロミジュリで良かったって本当に思う。

この作品について考えた時に最初に頭に浮かんできたのが副題の「Love or Die」だった。まさしく愛か死かを投げかけられ、考えさせられた作品だった。ヴェローナに"憎しみ"という感情が蔓延る中で愛を求めて走り出すロミオとジュリエット。この2人だけではなくて、作品に出てくる1人1人が愛を持っていてそして求めている。それぞれの愛がヴェローナの"憎しみ"を脅かしてしまうくらい大きくなった時、神はそこに「愛か死か」の裁きを下す。その裁きは悲劇に繋がるのか、この街から憎しみがなくなることに繋がるのか。様々な形の大きな愛を舞台の上から投げかけられる作品だった。
私はロミオ&ジュリエットの物語は悲劇として語り継がれているのではなくて、和解で終わる、ハッピーエンドではないけど前向きに終わる物語なことに理解ができていなくて。愛を持ったロミオとジュリエットの周りにいる人はみんな死んでいく。最後は両家が和解するから悲劇ではないのはなんとなくわかるんたけど、やっぱり死んだ人の思いの方が大きく残ってしまう*3。悲劇ではないと語り継がれる物語、理解できるようでできていなかった。観劇を重ねていくうちに、悲劇ではなく両家が和解しヴェローナの街に平和が訪れていることを千秋楽付近、霊廟のシーンでロミオとジュリエット2人が並んだ姿を見て泣きじゃくりながらも笑い「許し合おう」と言うベンヴォーリオの姿が悲劇だけではなかったことを教えてくれた。争いの中の真ん中にいた彼が笑い、和解を願うことでヴェローナの未来が明るくなった。唯一の若者の生き残りであるベンヴォーリオが仲間の死を乗り越え、前を向けるか否かでこの物語のラストに残る感情はこんなに違うのかと思い知った。

この恋の蕾は 美しく咲くだろう
僕たちの愛の恵みを受けて

ロミオとジュリエットの純粋なまでの愛の叫びが仮面舞踏会の終わった後の夜の街に響き渡る。ヴェローナの街に響き渡るにはあまりに綺麗すぎる愛で薔薇の香りは名前を変えても変わらないように、2人の愛もどんなに形を変えてもヴェローナでは決して許されない愛であることに変わりがないのが酷く虚しく響いてしまう。

この物語の中でロミオとジュリエットはもちろん愛を育み、その周りにいる神父さまや乳母は2人の愛へ愛情を注ぐ。そしてベンヴォーリオ、マーキューシオ、ティボルトだって友情や恋愛など様々な形の愛をそれぞれ持ってヴェローナに存在している。上手くバランスが取れていたものが、ロミオとジュリエットの愛が大きくなってしまったことで歪みが生じて神の裁きが下されるようになってしまう。たった3日間の物語なのにあまりにこの3日で大きな愛が衝突しては爆発するように儚く散っていくのがロミオ&ジュリエットの物語を惹きつける魅力なのかもしれない。3日が激動すぎて観ている時には時間のことまで考えられていなかったから時系列で改めて考えてみる。

1日目 : ヴェローナ〜仮面舞踏会〜バルコニー
2日目 : 綺麗は汚い〜エメ〜決闘
3日目 : ひばり〜霊廟

こうやって見るとヴェローナに起きた3日間って激動の3日だったんだな、と感じる。ヴェローナの街の描写として

傷付け血を流し 時に命を落とす
誰が禁じても決して終わらない

とはあるけれど、本当にこの街で命を落とすほどの争いが今まで起こっていたのか、3日間だけの物語でしかないしその前後は語られていないから本当かどうかわからないけれどあまりに街の人たちが"死"というものを遠くに思っている印象がある。モンタギューとキャピュレットの家同士の戦い、実は人が死ぬほどの争いになったのはこれが初めてなのかもしれない。今まで争いを起こしても大きなお咎めがなかったことだってそう。マーキューシオとティボルトが殺されて真っ先に遺体を片付けるよう指示するキャピュレット卿も、これ以上の惨事を案じて出た言葉のようで。何より「あなたたちの憎しみが 僕たちを駆り立てた 命奪い合うように 僕たちは犠牲者だ」と訴えるベンヴォーリオにいちばん、この街で初めて犠牲者が出たのではないかなと感じてしまう。だからこそ、街の人たちが愛について、死について、家同士の争いについて真正面から向き合った時、街に平和が訪れる。その平和になった街にマーキューシオとティボルト、そしてロミオとジュリエットがいないのがあまりに悲しい結末だとまた思い知らされ、やっぱり悲劇なのでは!?というループが私の中で始まるのはここだけの話。ロミオ&ジュリエットは悲劇なんじゃなくて、運命の恋のお話です。

演出については、2017年版を見た方の感想を色々聞いていて、携帯電話が出てきたりAEDが出てきたり、見る前は色々驚きがあったけれど、上手に組み込めてて私はこの携帯電話や文明が少し発展したロミジュリの世界間が好きでした。全く矛盾がなく物語の邪魔もせずに存在できていた。そして簡単には会えない2人が連絡を取り合おうとした時、携帯電話を持っていないことがこんなにも不便なことに気づかされました。ジュリエットに乳母がいて良かった。
そして今回この公演を見て、影の演出に魅了された。バルコニーでは月明かりがバルコニーの下にロミオとジュリエットの影を作り出し、エメでは2人を覆っていく死が未来を予見させているかのようで、憎しみ〜エメリプライズではロミオを飲み込んでしまうような影の使い方をしていて見入ってしまった。照明の使い方1つで、死の感情が見えるのがすごいなと。






ロミオ

ヴェローナの中で誰よりもこの街の平和を願うロミオは争いにも入らず、誰かといるよりも1人でいることを選ぶ。それがロミオとジュリエットの悲劇を呼ぶ1つに繋がってしまうのが見ていて悲しい。
仮面舞踏会でジュリエットに出会ってヤバイ嬉しい!みたいにマーキューシオの肩揺さぶったり抱きついたりして近づくの可愛かったな。あんなに仮面舞踏会行きたくなさそうだったのに幸せの絶頂にいるロミオ、ピュアで可愛い。ちょっと頼りないけど仲間思いなところとか、精神的なところでみんなのお兄ちゃんみたいな存在だった。だからこそ、ジュリエットとの結婚がわかってからはみんなで必死に戻ってこいって説得ができる。ロミオは1人でいる時間を大切にしていたから、マーキューシオを失って初めて彼らが大事な仲間だったと再認識した。危ない橋を渡るマーキューシオに対してロミオが良く思ってなかったところもあるだろうから。危ない橋を渡ることでロミオを守っていたことに気がついていないところが良いところでもあるんだよな。マーキューシオ始めモンタギューのみんなでロミオのこと守ってたんだよ。ロミオだけはこの争いに参加させちゃいけない、いずれヴェローナの帝王になる男なんだからって気持ちが色んなところから感じられた。

ジュリエットが亡くなったと聞いて、絶望が目の前に広がった時の感情の起伏がすごく好きでした。唯一の希望の光が消えてしまった時、まだ残されている光があることにすら気がつくことができなくてまさしく"闇に沈んで"いくロミオ。それでも薬売りが目の前に毒薬を出すと一瞬怯んでしまうロミオに絶望の中にいても感覚はまだいつもと変わらないところがあるのが垣間見えて、この瞬間に戻ってこられる道はあったんじゃないかと感じさせられる。ジュリエットと出会ったことで、今までだったら俯瞰して見られていたものが見られなくなってしまってジュリエットの元に走り出す。それが彼らの築いた愛の形であり、ロミオの出せた答えはジュリエットを追いかけることそれだけだったのが切なくなるくらい18歳という年齢はこの行動への説得力を持たせてしまうんだよな。
ロミオ2人ともバルコニーでジュリエットの語る、出会った相手が自分だってわかった時の表情が可愛いすぎて大好きでした。



- 古川雄大

「女たちは僕のことを追いかけてくる 何もしなくても」この台詞をこんなに日常茶飯事のように言えるロミオは古川ロミオの右に出るものはいないと思います。古川ロミオモテそうだもんな〜!優しくて、気が利いて、仲間思いで、女のこと振り倒してもロミオのこと嫌いになってる人がいなさそう。わかる。古川ロミオ、顔が良いもんな、そう、ロミオって2人ともとにかく顔が良いんですよ。あとびっくりするくらい顔が小さい。びっくりした。身長と顔のバランスがおかしい。
今回でお恥ずかしながら古川くん初めましてだったのですが、あの細い身体からあの素敵な歌声が出るのに驚きしかないです。強弱のつけ方とかめちゃくちゃうまいのに響かなさそうな身体してるからさ… 不思議だよ…… たくさんご飯食べてもう少し健康的な身体になってね…ってひばり見るたびに思ってました、ごめん、

古川ロミオって死と隣り合わせというかふと気を抜くと死の存在に気がついて、自分の周りを死が覆ってしまうような恐怖と一緒にヴェローナで過ごしてるように見えて。マブの女王終わりに明るい顔をしてマキュとベンを見送るロミオは1人になるとその死の存在を感じる。死はヴェローナの街の1人1人を静かに見下ろしているけれど、ロミオ以外の人は感じていなくて。もしかしたらロミオはベンやマキュを始めこの死の存在を気がつかせないようにするために1人でいることを選んでいるのではないかと思うくらい死の影を感じている。その"見えないなにか"はあまりに恐ろしいもので、自分の感情に起因して影が大きくなったり小さくなったり。シンクロして踊るロミオの影に見えた死は全てを悟って呑み込んでしまうような迫力を持っていた。

大千秋楽の日、結婚式の日取りを乳母に伝えたあと、去り際振り返って乳母の目を真っ直ぐ見て「絶対、幸せにするから。」と言った古川ロミオはこの3回目となるロミオを1ヶ月半走り切ってきて、たくさんジュリエットを愛し、命を果たしてきた月日を経た上でのロミオとしての覚悟が伝わってきて、古川ロミオだから言えた言葉だったし、あそこでこの幸せにするから、の一言だけで、エメは今までと全く違うものに見えたし誰も死なないんじゃないかとさえ思った。ジュリエットのこと、最後まで幸せにしてあげてほしかった。この世で2人の幸せな愛を実らせてる姿見たかったな。



- 大野拓朗

こんなにピュアで真っ直ぐで可愛いロミオは大野くんにしかできない、ヴェローナで大切に育て上げられていたロミオだった。ヴェローナの天然記念物にしたい。
「いつか」で恋を探している大野ロミオは永遠を誓い合える相手がいないことに対する虚しさ恋人に出会えない寂しさで"虚無"って感じが好きだった。ただ永遠の愛を誓う相手を思う時にはキラキラした真っ直ぐな目で未来を見ていて子どもみたいに楽しそうで。「まだ見ぬ恋人を探してるんだ」っておもちゃを探してる子供みたいに無邪気に笑う姿がとても可愛い。ある公演でベンヴォーリオがこのロミオに対して「まだ見ぬ恋人!?可愛いヤツだな」って吐き捨てたの、ベンヴォーリオに同意しかなかった!!!大野ロミオの良さは無邪気で純粋なところ!可愛いの!わかる!!!

純粋なロミオが死を感じる時は一瞬にして大きくその存在に気がつく。大野ロミオの人生に負の感情って大きく存在していなかったから、いつからか感じるようになった死に対しては普段は全然気がつかないのに突然現れるようで。闇に呑み込まれてしまいそうな落とし穴みたいだったのかもしれない。
大野ロミオが1人でいるのに大きな理由はなくて、面倒くさい争いに巻き込まれないようにするためっていうのもあるけど多分いちばんは1人が好きでそれが楽だから。仲間に会っても逃げようとするロミオはずっとまだ見ぬ恋人を探していたんだと思う。それくらい、純粋に運命の相手に出会うことを夢見てた。

大野ロミオのバルコニーのシーンが特に大好きだよ!!!ジュリエットの「おやすみなさい」すら聞こえていなくてとにかくジュリエットの側に行きたくて。キスできると思ってはぐらかされる感じのロミオは可愛いの一言しかありません。
だからこそ、ジュリエットが亡くなったと聞いた時のロミオの絶望は崖から突き落とされたように未来が真っ暗になって、ジュリエットの元に行く道しか見えなくなる。ベンヴォーリオからの言葉を聞いてジュリエットの姿を見るまで現実だと信じられていないから。絶望がまたそこで襲ってくる。霊廟で崩れ落ちる姿に明日が消えて絶望が広がって、でも徐々にジュリエットと天国で暮らす未来が見えるロミオの表情の変化に天国で幸せになってほしいとすら思ってしまった。毒を飲んで「ジュリエット」と呼びかけながら幸せそうに笑うロミオには、新しい世界でジュリエットと一緒に暮らせる希望に満ちたような笑顔でそれがまた辛い。

ティボルトを刺してしまった後立ってすらいられなくなるロミオの姿やジュリエットの死体を前に後ずさる大野ロミオをみて、この人は"人が死ぬ"ということに対しての免疫が全くないと感じた。"死"に対して恐怖のような感覚があるから普段の陽とふと感じる闇、陰の差がはっきりしていて。陰と陽の感情の振れ幅もすごいから、歌に感情が溢れ出した時の迫力がすごくて、ロミオの絶望に触れられた気がした。






ジュリエット

キャピュレットで大切に大切に育て上げられた箱入り娘ジュリエット。「愛がなければこの世は闇よ」ってものすごく真っ直ぐな目で言うジュリエットの姿がただただ好き。未来の恋人の姿を待ちわびているジュリエットはキラキラした宝石みたいに輝いてる。ロミオに出会う前の子どものようにあどけなく笑う姿から、ロミオと出会って彼の妻になったあと、大人のように芯の灯った目をするジュリエットに改めて女性としての強さを感じる。ロミオとの恋に突っ走ってしまう盲目さはやっぱり16歳の乙女なんだよな。
ジュリエットはモンタギューとキャピュレットの争いは知っていて、もちろんモンタギューが仇だということもわかっているけれど、あそこまでヒリヒリとした争いが街で起こっていることは知らなさそう。乳母からロミオがティボルトに復讐したって聞いてもどこかジュリエットからその事実を現実として実感してる感じなかったのはそのせいかな… この争いを知らない純白な女の子がジュリエット。
何も知らせずに感じさせずに育てていたに違いない。そういう怖いところではなくて、幸せにヴェローナで生きていけるようにティボルトや乳母、キャピュレット卿、キャピュレット夫人を始めみんなジュリエットのことを守っていた。外に出たくなる気持ちもわかるけどジュリエットは守られすぎてまだまだ外の世界のことは知らないんだろうなと思うと、ロミオと街を飛び出して生きていけたかはわからない、けど幸せそうに笑ってくれればそれで生きていけるか!とも思うからあの2人ならなんとかなかったかな。

ロミオがどんな状態になろうと、ロミオを思い続けることができるのは2人の中にある愛がものすごく大きいものだからだろうし、その大きさがないとあの薬は飲めなかったと思う。霊廟で目覚めてロミオを見つけた時の幸せたっぷりの笑顔は忘れられないし、起きないロミオに気がついた時一瞬で声色が変わって、でも絶望が広がるというよりまた別の新しい世界を目指すジュリエットの強さには女の強さを感じて儚くもかっこいいとすら感じるところがあった。ナイフを胸に刺したあと赤い花びらが舞うように見えた日があった。そんな綺麗なラストだからこそ、2人の愛の大きさ、それが純粋なものだったことを教えてもらえた気がした。



- 葵わかな

天真爛漫で、愛を夢見ている可愛い16歳の女の子。あどけなく笑う笑顔や色んなことに興味津々なところ、素直ですぐ涙をこぼすところとか、感情に素直な等身大のジュリエットだったな。

今回が初めての舞台でミュージカルだったからか、全期間を通しての成長がすごかった。最初はわかなちゃんジュリエット苦手かも…って思ってたけど最後、すごく好きなジュリエットになってた。 最初は世間知らずな女の子で、ロミオと出会って妻になって、目に宿る光が夢だったものが現実になったことで3日という短い時間ではあるけれど確実に大人になってた。女って強いな。女の強さは備わったけど多分ロミオと駆け落ちできてもいちばん生活できなさそうな気がする。心配しすぎて乳母に探されちゃう。愛されジュリエットなんですよね、まだ1人立ちさせるにはあまりに世間知らずだから。
大人になったとはいえ、私の親じゃない!ってキャピュレット卿と夫人それぞれに指をさしてあなたも!って言う姿に感情的になるとまだまだ子どもなことを感じさせてやっぱり等身大のジュリエットだった。16歳の女の子、大人に見えてもまだ大人じゃない。

古川ロミオといるとお兄ちゃんに甘えているような、全てをロミオに託している感じがすごく素敵で、少女が背伸びをして大人の恋しているみたい。それもまた女の子の憧れの1つだから純粋にジュリエットは楽しめる。わかなちゃんジュリエットを守るためにロミオはもう少しだけ強くなった方が良いよ!そして大野ロミオといると等身大の、2人とも同じ目線で愛を育んでいた。まだ2人とも成長しきっていないから危なっかしいところもあるけど、それこそ恋の翼に乗ったら全部乗り越えられそうな2人だったな。



- 木下晴香

しっかりしてる大人なジュリエット。全ての行動に意味があるように感じて、甘えるところはとことん大人にもロミオのも甘えるけれど引くところはしっかり引く。周りが見えていて、いちばん地に足がついてるジュリエットって印象だった。ロミオと2人で駆け落ちしても晴香ちゃんジュリエットだったらなんとか生きていけそうだもん!料理とかやらせたらメキメキ腕あげてめちゃくちゃ美味しい夜ご飯作ってくれそう。晴香ちゃんジュリエットのご飯食べられるロミオ羨ましい。私も晩餐混ぜて。

晴香ちゃん、とにかく歌が上手い!高音が綺麗に聞こえるの、耳が幸せだったよ……
大人になりすぎてて裏と表の顔の違いが最高に興奮するジュリエットだった。「そうなりますように(地獄に堕ちますように)」の言い方に晴香ちゃんジュリエットの闇の深さを思い知った… 乳母が知っているよりもずっとジュリエットは大人になりすぎてます。私の親じゃない!ってキャピュレット卿には手を広げてさし、夫人には指をさすのも全部わかった上でやってる感じがして怖くて楽しかった!女を傷つけるやり方を知っている。パリスと結婚させられることが嫌っていうのもあるけれど、それ以上に自分の出生のこととかあのタイミングで聞かされたこととかに腹立ててるんだろうなっていうのもジュリエットの気持ちが全部見えるようで、またそれがキャピュレット卿にはわからない女同士の戦いって感じ、好きだったな。ここで乳母に「嫌だ」って頼るジュリエットは乳母への信頼が見えて2人の良い関係性が感じられる。だからこそ乳母にあの言葉を言われるのは悲しかったんだろうな。

古川ロミオとは大人のカップルって感じがして見ていて安心した。周りのことをわかった上で危ない橋渡るしかない感じもすごく良かったな。綺麗なカップルだった。大野ロミオとはお互いが"運命の相手"っていうのが伝わるくらい巡り合わせを感じる2人だった。こういう家の違いで禁断の恋みたいな形じゃないともしかしたら惹かれ合わなかったのかもしれないとすら感じさせる2人。でも恋に落ちたらいちばん周りが見えなくなる2人でもあったんだよな。

天使の声が聞こえるでロミオのキスを交わして階段を駆け下りて「かみさま!」って口にするのがすごく好きでした!



- 生田絵梨花

いくちゃんさんジュリエット、周りが見えないくらいロミオとの恋に夢中で可愛い女の子なジュリエットだった。正直に言うといくちゃんさん見られたのが東京公演前半戦だったので記憶が曖昧なところもあるんだけど感じた印象を。

薔薇を見つめるキラキラとした目が可愛いくて。ロミオとの恋はいちばん盲目だったなと思う。最初から女の強さを持ってるジュリエットで、でも世間のことは知らなくて、みたいな矛盾が素敵に見える女の子だったな。そういうところに強さを感じていたのかもしれない。もっと見たかったな、いくちゃんさんジュリエット。

古川ロミオとは、ジュリエットから強さを感じていた分ロミオと別れないといけない時の細さが印象的。お互い深いところで通じ合えてるからこそ盲目になってしまう愛の形だった。大野ロミオとはバルコニーでのジュリエットの溜息とロミオの溜息の温度が同じで2人は出会うべくして出会ったんだし、出会ってからはもう真っ直ぐに突き進む道しか残されていなくて、だからこそ幸せいっぱいのこの2人のバルコニーが大好きだった。見てるこっちがときめくくらい2人とも初々しくてきらきらしてて、眩しかった。






ベンヴォーリオ

ベンヴォーリオって孤独につつまれた優しさの化身だと思っていて。誰よりも周りがよく見えてるし、とにかく優しい。ロミオのことを「ギリギリまで手を出す男じゃない」と口にするベンヴォーリオ。この言葉の裏をとると「ギリギリを超えてしまった時、ロミオは何をするかわからない」って意味が含まれているようにしか聞こえなくて。ベンヴォーリオは周りのこと、そしてその人のことをよくわかっているから、その一線をロミオが越えてしまっても不思議じゃなくて、そういう奴なんだと。ベンヴォーリオは人の本質みたいなところまで見えてるのかなって、またそれを周りに気がつかせないようにしてるのがとても器用。もしかしたらそれすら自分でも気がついていなくて無意識でやっているのかも。
ロミオを1人にしているのはロミオのことを知った上でだろうし、マーキューシオの喧嘩を止めないのも、彼のことをわかっているから、いつも一緒に最前線に立って守っている。唯一若者の中で生き残るベンヴォーリオ。彼は最初に記述した「ヴェローナの"憎しみ"を脅かしてしまうくらい大きく」なってしまう愛を物語の中で育てるのではなくて、ずっと大きな愛でみんなを覆っていた。だから彼は生き残る。

ベンヴォーリオを見ていると、争いに参加はしているけれど自分から喧嘩はふっかけない。争いの中でも仲間を助けようとしていたり、暴走しすぎるマーキューシオを止めたりと自分から殴る蹴るとかそういう表向きの喧嘩はしない。でも争い自体に嫌とかそういう感情はあまり見えなくて、みんなと楽しくヴェローナで暮らしている生活の一部なんだよね、ベンヴォーリオにとっての争いって。
決闘で「誰もが自由に生きる権利がある」ってベンヴォーリオが言う理由をずっと考えていたんですけど、この言葉ってマーキューシオを止めようとするロミオに向かって叫んでいた。もしかしたらこれはロミオに向けての言葉だったのかもしれない。ロミオは「誰を愛するのも自由だから、争いはやめよう、憎しみ合うことは間違っている」って意味が大きく込められているのに対してベンヴォーリオは「争いという手段しか見つからないけれどモンタギューを守ろうとすることだって自由なはずだ」みたいな意味を感じた。ロミオを失いたくないベンヴォーリオとマーキューシオ、そしてモンタギューの人たちの思いを代弁したようなベンヴォーリオの「誰もが自由に生きる権利がある」。この争いが間違っていたことに気がつくのはマーキューシオを失ってから。目の前で親友を失ったベンヴォーリオは寄り添うことしかできなくて、自分の無力さを痛感する。そしてロミオもまた復讐してしまったことによってヴェローナから追放されてしまう。モンタギューの仲間をいちばんに大切にし続けていたベンヴォーリオだから失った悲しみは誰にも測れない。大人たちの憎しみに巻き込まれて争いをすることは間違っていると気がつくには時間が遅すぎたんだ。

モンタギューのリーダーとしてマーキューシオと一緒に引っ張っていってたけど、実質的にはマーキューシオがモンタギューのリーダーだったんじゃないかな。10代後半の時期、強い者に対して格好良いと、憧れを持つのは当然のこと。戦わないベンヴォーリオへの信頼はどれくらいだったんだろう。狂気〜服毒でベンヴォーリオの声がみんなに届かないのはマーキューシオが殺されて復讐に燃えているから。ここのあたりから、争いの中にいる若者と全てに気がついてしまったベンヴォーリオという間がきてしまって、彼の孤独がより増していく。
仲間をなくしたベンヴォーリオはジュリエットの死を知って微かな希望すら消えてしまう。その目には何も写らず、思うのはロミオのことと楽しかった昔のこと。自分たちの力では何もできず、変えられない無力さと光が消えた絶望の中、ジュリエットの死をロミオに伝えられるのは俺しかいないと目に決意を宿すどうやって伝えようは圧感だった。ベンヴォーリオの優しさと孤独と決意する力強さと前を向ける強さとベンヴォーリオという人の全てを感じる曲。結果的にこれを伝えてしまったことで、ロミオまでなくしてしまうことになるのがベンヴォーリオの孤独をより引き立たせる。彼にこんなに重荷を背負わせてどうするだよ。それでもロミオとジュリエットの最後の姿をみて涙を流し、「許し合おう」と言うベンヴォーリオはこの3日でロミオとジュリエット、そしてマーキューシオ、ティボルトから影響をたくさん受けて、間違っていたことを学び、これからのヴェローナを先頭に立って歩んでいくんだ。


- 三浦涼介

公演が増すごとに「(ロミオの)しつけがいいから!」と「未だ見ぬ恋人!?」の棒読み具合が上がっていくのがとっても好きでした!モンタギュー夫人に「あっほら!しつけがいいから!」って心から思ってない感じがすごくベンヴォーリオって感じがして好き。
そういえば、りょんくんさんって肩にタトゥーが入ってるの、控えめに言って最高すぎるベンヴォーリオすぎません!?!?ニートで、女を骨抜きにさせる魅力を持っていて、肩にタトゥーが入ってて、ピアス穴しっかり開いてて、とにかく顔が綺麗で。どうしよう、ベンヴォーリオのビジュアルがあまりにベンヴォーリオで最高だ…… オフショでタトゥー見つけた時のテンションの上がり方は異常でしたね、、

ロミオに対してもマーキューシオに対しても愛情がたっぷりで、優しいがすぎるベンヴォーリオ。みんなのことを優しさと愛で大きく包み込んでくれてた。りょんくんさんベンからはあんまり争いに対する考えがよくわからなかったけれど、みんなのお兄ちゃんみたいな存在だったんだろうな。
キャピュレット夫人の「言い逃れだわ」に噛み付くように叫ぶ姿に子供の力じゃ大人には対抗できない歯がゆさを感じて、僕たちは犠牲者だと訴えても話を聞いてくれない大人にはもう叫んで威嚇することしかできないんだ。りょんくんさんベンヴォーリオはロミオかマーキューシオ、どちらかに気持ちが寄っているというよりも、2人がいることで自分の存在を肯定しているようで。自分の気持ちが強くないからこそ、2人を通して"ここにいる"ことができている。だからマーキューシオを泣きながら抱きしめるベンヴォーリオはすごく小さくなる。仲間がいなくなることは、自分の存在がなくなることと同じだった。強くロミオのことを抱きしめるベンヴォーリオは縋る場所がここしかないと言っているようで。ロミオを抱きしめながらマーキューシオが持っていた、そしてロミオが手を汚してしまった、そのナイフが目に入った時、ベンヴォーリオに今までにない悲しみ悔しさ苦しさ、全ての感情が流れるように襲ってきて、友人2人の想いのこもったナイフを手にまた彼も悲しみに浸るのだろうと思うと辛い。それでもそのナイフは彼にとって2人の形見としてずっと傍に置いて生きていくのだろう。



- 木村達成

公演を重ねていく中で個人的にいちばん化けていちばん印象が変わったのが達成くんでした。綺麗は汚いで木村達成独壇場にしていったのはほんとに心が強いと思うしその精神大好きだよー!!って毎回終わる度に叫んでいた。東京アフトではあんなに緊張していたのにね、あれは別人だったのかな…??お気に入りは"手羽先"です。あと平間くんのことを身長イジりしてくれる貴重な存在でした。ありがとう。

マーキューシオとの"バディ"感が強くて2人のベクトルが一致した時、モンタギューの強さをめちゃくちゃ感じた。
後半戦、ヴェローナの「例え軍隊が〜」のベンソロ前にマキュとアイコンタクト入れるのほんとーーーーにずるい!!それ!最高のベンマキュじゃないですか!!ちなみに、街に噂がでもベンとマキュのアイコンタクトが多発しすぎてこの2人がバディなのすごく感じられて好きが募った。ヴェローナのアイコンタクトは4/3にもしっかりやってくれていたからDVDに残るはずなので!気になった人、チェックしてください!モンタギュー推しの全私が死ぬ最高アイコンタクト。

達成ベンはどちらかというとマーキューシオ寄りに気持ちがあって。キャピュレットとの争いの中での挑発の仕方とか、ティボルトに向かっていくマキュを止める時の表情も「まぁ、その辺にしとけよ」みたいに笑いながらで基本的にこの争いを楽しんでる。マーキューシオと一緒にモンタギューを引っ張っていくぞ!って気持ちが見えたから、争いの中で戦うことをしていなかったことに驚いたけれど、決闘でキャピュレットにやられた仲間を助けに行こうとする姿をみて、ベンヴォーリオはこういう役目だったんだなと思った。マーキューシオが最前線で戦って周りの意識をあげて、足りないところをベンヴォーリオが補う。バランスを上手に取っている役目。だからマーキューシオを止めようとするロミオを制する。それはベンヴォーリオにもロミオを守りたいという気持ちが大きかったからなんじゃないかな。もちろんマーキューシオから感じた狂気が今までにないような大きさだったからっていう理由もゼロではないだろうけど。そこでマーキューシオを止めないのはベンヴォーリオの2人への優しさだった。

マーキューシオをなくし、ロミオがティボルトに復讐してしまうとロミオを守ろうとすることに必死で。「ロミオがティボルトを殺した」って言うモンタギュー夫人の腕を違うんだ!って訴えるように掴んだり、野蛮人だとロミオのことを指さす大公の前に立ちはだかったり。それでもマーキューシオが肌身離さず持っていた、そしてロミオが復讐してしまったナイフを見つけると引き込まれるようにナイフを手にして悲しみに襲われる。1人で立っていられないほどの悲しみすぎて泣き崩れながらロミオの元を去っていくベンヴォーリオの姿が忘れられない。

ラスト、ロミオとジュリエットの亡骸をみながら泣き、笑い「ロミオとジュリエット 命を懸けてまで 教えてくれた」と歌う彼の姿にジュリエット、そしてロミオはベンヴォーリオにとっての誇りなんだと感じさせられた。この言葉を紡ぐモンタギューの仲間やキャピュレットの人たちをベンヴォーリオは笑顔で見ながら憎しみがなくなることをロミオに報告しているようで。ロミオの前では崩れ落ちない彼の強さと逞しさ、これからこの街を背負って先頭を歩く彼の背中はロミオに大きく写ったかな。それでもロミオの傍を離れると悲しみややるせなさが襲ってきて泣き崩れてしまう。自分がジュリエットの死を伝えてしまったせいでロミオを亡くしてしまった彼の持った荷物はあまりに大きい。泣きじゃくりながら蝋燭を吹き消す日もあったし、泣き笑いながら蝋燭を吹き消す日もあった。ロミオ、マーキューシオがいないヴェローナで彼はこれから生きていく。この蝋燭を吹き消すことでまた新しい道が未来が切り開いていくスタートになるといいなと思うラストだった。






マーキューシオ

喧嘩っ早くて、バタフライナイフを相棒みたいに扱って、大人の話なんて耳にも入らなくて、恋なんて暇つぶしくらいのものにしか思ってなくて、女の扱いは酷くて、彼の素行の悪さ(?)を挙げたらキリがないけれど、大公の甥でいるのに誰よりもモンタギューでいようとして、そして誰よりもロミオが大好きで。仲間を大切に思っているマーキューシオ。ロミオに「どうしてお前はそんなに不器用なんだ?」って言葉を最後に残すけれど、間違いなくいちばん不器用なのはマーキューシオで。そんなマーキューシオが私はとても好き。
ヴェローナ大公の甥という立場でモンタギューにいる彼。血はどんなに努力したって変えられるものではないことはわかっていても、必死でそこに抗っているようで。それはモンタギューにいたいという気持ちよりも大公の甥という立場から抜け出したかったのかもしれない。ヴェローナ大公は彼にとって"なりたくない大人"の象徴だった。大公の言葉1つ1つを馬鹿にし、聞く耳すらもたない。同じような行動をモンタギュー夫人にもとる。マーキューシオにとっては大人の作ったこの街で憎しみに駆り立てられ、争うことで居場所を得ることができた。その居場所を奪うような大人の言葉は誰よりもモンタギューでいようとした彼にとっていちばん聞きたくない言葉だったのかもしれない。そんなマーキューシオの一面が色濃く出ていたのが"憎しみ"でナイフを出してはベンに回収されてっていう一連の流れ。大人の言葉に従い振り回されるのは嫌だっていう彼の気持ちが現れているようだった。
モンタギューに存在できるように、腕の強さだけが物を語るだけではないことは彼自身がいちばん良くわかっていて、ただ腕の強さも今のポジションを得るには必要だったはずだから。相当努力もしてきたんだろうなと思う。
彼がモンタギューの1人として迎え入れられた日、そしてその背中にモンタギューのドラゴンを背負えた日、彼のその気持ちは計り知れない。その日はよりモンタギューに存在しないとと思っただろうし、だから先頭に立って飼い犬と罵られようと前にいることをやめない。自分の居場所を作ってくれたモンタギューを守るために。深く頭を下げ、いちばん経緯を払っている大人がモンタギュー卿であるのは、自分をモンタギューに受け入れてくれた、そして自由にさせてくれる寛大さに憧れと感謝をしているからなのかな。
マーキューシオは自分の気持ちに純粋だから、ロミオとジュリエットの結婚を知ってティボルト、そしてキャピュレットへの憎しみ、ロミオへの信頼愛情の気持ちが大きくなりすぎてしまった。結果的に愛を手にする前に死んでしまう。
争いになるといちばん先頭で戦って、異常なまでの狂気が満ちる彼。そんな彼もモンタギューの仲間といる時には本当に楽しそうに笑う。狂気の方が強く印象に残ってしまうけれど彼の本質はモンタギューでいる時に見せる笑顔。ロミオのことをベンヴォーリオと一緒にイジったり、仮面舞踏会に誘ったり、悪知恵だけは一人前に働くマーキューシオ。あの楽しそうな笑顔を見ていると争いの中での狂気染みた顔があるなんて考えられない。みんなの真ん中で必死に走ってモンタギューのリーダーとして存在している。周りか頼られるリーダーになれたからこそモンタギューの結束力と仲の良さが生まれたんだと思うと、マーキューシオがモンタギューに残したものは大きかったんだなと感じる。



- 平間壮一

とにかくたくさん見ました。たくさん見れたから、色んな表情も見れたし、毎公演感情のベクトルが違って楽しかった。ラストだって、笑いながら幸せそうに亡くなる日もあれば、死ぬことに恐怖を抱いている日もあったし、友との別れを惜しむ日もあった。そのどれもが平間くんの作り上げたマーキューシオだったんだよな。狂気で満ちすぎていて、それだけにならず、人間らしい一面がたくさん見えたマーキューシオだった。

平間くんのマーキューシオはロミオへの想いがとても強いマーキューシオ。その想いは友情というよりも、愛情の方に近くて。女を誑かしてるのも本命はロミオだったから、そんな風に遊んでいるかのようにすら感じさせられた。誰にもなびかないロミオだったから、自分の隣にいてくれることは当たり前で。そんなロミオがジュリエットの元へ行ってしまう。その道はあまりに険しすぎて、どうにかして戻ってきてほしいと切に願うマーキューシオの街に噂がの表情が忘れられない。モンタギューの先頭に立ってるはずなのに、堪え切れない悲しみがいちばん表に出ていたのはマーキューシオだった。それだけロミオへの信頼と愛情が大きかった。ただ悲しみももちろんあるけれど、それと同時にロミオへの単純などうして?っていう疑問と未来への不安、ロミオの言葉が信じられない自分への憤りと、ロミオに投げてしまった言葉たちへの後悔、そして言葉にできない様々な気持ちが一気に押し寄せてきた。みんながロミオに対して「もうお前はお終いだ」と言い放ったあと、不安な気持ちが入り乱れながらも「ロミオ?」って手を差し伸べる姿が儚い。ロミオに掴んでほしかったその手は辛くも下ろさなければならなくなる。そして叫ぶマーキューシオの「もう終わりだ」はモンタギューで過ごして今まで築き上げてきたものが掌から崩れ落ちていく虚しさみたいなものもみえて。あの後決闘までの時間は本当に僅かしかなかっただろうけど最後にできることとして彼はロミオを守ることだけを考えて戦いに臨む。最終的な彼の願いはロミオの幸せだから。自分を犠牲にしても最後までロミオを守り抜いて、幸せになってもらうことが仲間として、親友としてモンタギューにいるマーキューシオができることだった。

決闘で、ティボルトに向かっていくマーキューシオの姿は彼の持っている全ての気持ちをティボルトへの"憎しみ"という気持ちに変えて向けていて。ロミオへの気持ちや今まで過ごしてきた時間を手放すやり切れない思い全てが彼の叫びに変わっていた。本当にみていて辛い。ティボルトに浴びせる言葉一つ一つが自分を削りながら吐く言葉になっていて、ティボルトを責めているようで、自分のことも責めている。喧嘩に割って入ってくるロミオの姿をみて動揺する彼にロミオへの思いが十分すぎるくらい見えて。なんで来たんだ?って思いとマーキューシオの気持ち的にロミオに来られてはいけないっていう動揺。その気持ちをどうして?ってロミオに向ける日もあれば、決闘中1回もロミオと目を合わさない日もあった。意図的にロミオを視界に入れようとしていなくて。そんなマーキューシオに対して「俺を見ろ!」って肩を揺さぶりながら説得するロミオもまたしんどい。自分のせいで起きた喧嘩、価値観の違いで起きてしまったこと。"憎しみ"をなくしたくてもなくならないと思ってる人となくそうとしている人。気持ちの繋がりが解けかかってしまった状態だったからこそ、ここでロミオに説得されるのがいちばん辛かっただろう。

そんなマーキューシオのラスト。ティボルトに刺されて、大好きな仲間に囲まれながら旅立つその姿はあんなに大きかった背中がいきなり小さくなってしまっていて。それでも最後の力を振り絞ってロミオに気持ちを伝えるその言葉は今までモンタギューの先頭で走ってきた彼からは想像もつかない言葉で。でもこの言葉を言えるのも間違いなくマーキューシオだけなんだよね。ジュリエットを最後まで愛し抜けという言葉も、モンタギュー、そしてキャピュレットの家の"憎しみ"を憎むことも。大人の作り上げた憎しみが蔓延る世界で生きてきて、モンタギューとして争うことで居場所を作った彼も心の奥では両家の争い自体を憎んでいた。もちろん、キャピュレットへの憎しみの気持ちの方が大きいことは彼の指すナイフの先が物語っている。それでもこの争い自体を醜いものだと、モンタギューですら恨むと言葉を投げて終わる。それが誰よりもモンタギューでいようとした、モンタギューの名前を捨てることができないマーキューシオが最後にできる、ロミオとジュリエットの幸せを願う精一杯の言葉だったのかもしれない。「自由に生きるため」には、名前なんかに囚われていてはいけない、と気がついた。でも気がついた時にはもう時間は遅かったから、こんな言葉でしかロミオに託せない、そんなところも不器用で。平間くんのマーキューシオは想いがとても強すぎて上手に伝えられずに、ずっと下手くそだったんだよね。それがまた切なくて。儚く散ってしまう命だからこそ、その不器用さもまた若さと一緒に煌めいた、そんなマーキューシオだった。



- 黒羽麻璃央

まりマキュさん、あんまり見れなかったの後悔してます、古川ロミオとの組み合わせが見れてないからまた見てたら印象大きく変わっていたんだろうなー!!
初めて見たときの感想がまりマキュさん、背おっきいなー!でした。(馬鹿な感想でごめん)
まりおくんのマーキューシオはロミオ、ベンヴォーリオの2人といるとお兄ちゃんたちに囲まれて暴れまわってる可愛い末っ子マーキューシオだった。モンタギューの仲間といる時もモンタギューのリーダーっていうよりも、みんなと仲間!同士!って感じが伝わってきて、率いているというよりは同じ土俵でみんなでわいわいできる仲間思いの楽しい兄ちゃん。いや、末っ子なんですけどね。

りょんくんさんベンとの時は完全に可愛い弟になっていたし、達成ベンとの時は最強バディ!って感じでそれぞれ誰にも壊せない固い絆で結ばれていた。この3人の間には入れる隙がなかったんだよな。家柄とか血筋とかそういうの抜きで本当の家族みたいに見えた。ただやっぱり大公の甥っていう立場に劣等感みたいなものを抱えているのも事実で。楽しいところにいて何が悪いの?みたいな思ってそう。でも周りの人はどこかでそれを許していないことを彼自身わかっていることがあどけなく笑う姿に見え隠れしていて。大公に対して遊ぶようにおどけるように投げかける言葉だったり、モンタギュー卿への態度も敬意はあれどどこか作っているようにも見えて。彼の憎しみの矛先は大人に向いていたのかもしれない。この物語、結局のところ若者それぞれが大人に対して憎しみを持っていたと思うけれど、それがいちばん顕著に出ていたのがまりマキュさんだったなって。

悪知恵を働かせてみんなと遊んでいるのも、女に対しても恋に対しても遊びだと思っているのは本心なのかもなと思った。きっと綺麗な女の人とたくさん遊んできて、良い女だっていたはずなのに誰か1人に固執できないんだろうな。
ロミオとジュリエットの結婚を知った時のマーキューシオはロミオに対して裏切られたような、信頼していたお兄ちゃんが…どうして?って気持ちが大きくて。仲間を思う気持ちが人一倍あるマーキューシオにとってキャピュレットと許し合おうって言葉は理解ができない。それでも目の前にキャピュレットが来たら戦う以外の選択肢も見つからないんだ。そしてどんなに裏切られても仲間を守る以外の選択肢もない。ティボルトに対して投げかける言葉1つ1つがその時のマーキューシオから出てくる罵詈雑言を並べ立てている感じがすごく好きだった。だから自分の言葉を文字るようにティボルトに「臆病なのはお前だろ!」って言われると、そんなこと全く思っていなかったマーキューシオはふと我に返ってしまう瞬間が彼のティボルトに対する気持ちを増長させたように殴り合いになる。見ていてただただ辛い。

ジュリエットのことを最後まで愛し抜けとロミオに言う彼は弟をあやしているお兄ちゃんみたいに見えて。あんなに子どもだったのにどこで成長したんだろう。最後くらい大人になった姿を見て欲しかったのかなって思うくらい心が大きくなっていて。ここで甘えられないのもまたマーキューシオの不器用さが出てしまうところなんだよな。






ティボルト

ティボルト振り返ろうって思ってもあまりに違いすぎて役解釈も全部違ってきちゃったからそれぞれで書いてます。



- 渡辺大

渡辺ティボルト。私の中にあったティボルト像と一致するところがたくさんあって見ていて気持ちが良かった。そしてとにかく格好良い。胸板の輝きは噂通りで色気と一緒に増しててきっとキャピュレット夫人だけではなくていろんな女を弄んできたんだろうなっていうの感じる。若い女より熟した女にモテそう。渡辺さん、外見と中身のギャップがありすぎて未だにどんな人かわからない。アフトで毎回椅子からこけるのに誰にもツッこまれない渡辺大輔、いったいどんな人なんですか。結局アフトでお会いすることができなかったので… 気になるなあ。

キャピュレットの先頭でキラリと輝く孤高のリーダー。キャピュレットであることに誇りを持っていて、この家の跡を継ぐために今まで色々なものを犠牲にしてきた。人間らしく振舞うことよりも、キャピュレットの跡継ぎとしての振る舞いを求められてきた彼には本音で話すことができる友達を持つことは必要なかったのかもしれない。1人で誰よりも高い場所にいるティボルトは誰よりも孤独と戦っていた。頼れる人すら周りにいなくて、1人で全てを抱えて生きてきた彼の原動力になっていたのはジュリエットの存在。彼女に対する想いは自分の立場を考えると誰にも言えないことだろうし、いずれ彼女が誰かのものになってしまうことすら分かっていたのに、止められない想いも抱えている。孤独と葛藤を抱えるティボルトは”強くて優しい”姿からは想像つかないくらい人間らしくて弱い人なんだよな。 ヴェローナでいちばん家柄や血縁関係に縛られていたのはもしかしたらティボルトだったのかもしれない。キャピュレットの跡継ぎのティボルトにとって最大の敵はモンタギューの跡継ぎであるロミオだった。ただロミオは争いの場に姿を見せなくて。モンタギューの先頭にいつもいるのはベンヴォ―リオとマーキューシオ。家柄や血縁関係を大事に思っているティボルトにとって、大きな声でモンタギューを語るマーキューシオの存在は彼の苛立つ気持ちを増長させるには十分で。昔からマーキューシオのことを蔑み、憎んでいたのは関係のない家の者がモンタギューとキャピュレットの争いに最前線で入ってきていたからだろうし、何より自分の家の名を汚すような言葉を並べることへの恨みみたいなのもあったのかもしれない。ティボルトにとってマーキューシオは邪魔な存在でしかなかった。決闘前に「ロミオの居場所を教えろ」と言葉を投げかけるティボルトの目線の先はベンヴォ―リオなのがマーキューシオを邪魔者にしか思っていないことを強く写らせるんだよな。
パリスの妻にジュリエットをという話になった時にキャピュレット卿と交渉すらさせてもらえない姿に今まで自分の築いてきたキャピュレット卿との信頼関係がなかったのがみえて。結局はキャピュレットの中心にいられているようでいられなかった事実に驚きと動揺が隠せていなくてつい出てしまった「ティボルト」での本音にまた自分に対して驚く。ジュリエットを想っている気持ちを持っているのはもう1人の自分みたいな感覚で。それが目の前でジュリエットの結婚相手として現れた男に対する嫉妬と家の事情が絡んできた葛藤が襲ってくる。「俺はティボルト」という言葉にはっとしたようなものを感じたのは、本当の今まで隠してきた想いを持っている自分が現実の自分と一致してしまったから。ずっと傍で見守ることのできていたジュリエットが傍からいなくなってしまうことに気が付いてしまった。それでもティボルトとして生きていかなければいけない。キャピュレットを守るために自分の気持ちをこれからも隠さなければいけない。そんな葛藤を改めて現実として受け止めてしまった。仮面舞踏会でロミオがいたことを報告するも取り合ってもらえないことに疎外感すら感じて、現実と理想の自分との違いを感じ始めたティボルトは誰にもその姿を見せずに1人でもがく。

ロミオとジュリエットの結婚を知った彼は今まで誰にも見せていなかった姿をさらけ出すように抑えきれなくなったジュリエットへの気持ちと、ロミオへの大きくなった憎しみの気持ちが彼を争いへと駆り立てた。気持ちがあふれすぎて、自分でもそれがどんな気持ちなのかすらわからなくなったような、取りつかれてしまったような目をする渡辺ティボルトから恐怖を感じた。決闘でマーキューシオと言い合うティボルトの目の先にはロミオしか映っていなくて。マーキューシオの言葉が何一つ刺さっていない。ほんとに犬を黙らせるために投げているだけの罵倒にすら聞こえる。それだけ彼の憎しみの矛先はロミオだったんだ。「誰もが自由に生きる権利がある」と叫ぶロミオとベンヴォ―リオの言葉に対して「誰もが自由に生きる権利などない」と叫ぶティボルトは、どんな状況になろうとキャピュレットの跡継ぎとしてここにいるしか俺の居場所はないという諦めのような、腹を括ってしまったような叫びに聞こえてティボルトの本当の強さすら感じた。理想の自分と現実の自分の違いにもがいていた彼は自由に生きる自分になることができないと知ってしまったから。キャピュレットの跡継ぎとしての自覚すら感じた叫びだったな。
マーキューシオを刺してしまって、周りには強気で振舞っているけれど本当は一瞬でこの先が見えなくなってしまった恐怖や不安でいっぱいだった。ナイフを人に向けると手が震えてしまう。孤高のリーダーは強く優しく凛々しくそびえたっているように見えていたけれど、本当は弱くて脆い、普通の人と変わらないことを最後の瞬間に教えてくれた。ロミオに刺されてティボルトが笑って亡くなる瞬間、今まで背負ってきた荷物を肩から降ろせたこと、そして何より一瞬で見えなくなった恐怖や不安が一気になくなった安心で微笑みながら最後を迎えることができたのかな。
自分で作り上げてしまったキャピュレットの跡継ぎとしてのティボルト、強くて優しいティボルトの姿は現実の周りから期待されて作り上げられてしまったティボルトだったのかもしれないなあ。



- 廣瀬友祐

廣瀬さんのティボルトは私の中にあったティボルトというキャラクターを良い意味で壊してくれた人でした。廣瀬さんのティボルトを初めて見た時、ずっとティボルトは強くて怖いものを知らなくて、喧嘩が強くてキャピュレットのそれこそ孤高のリーダーという私の中にあったイメージからかけ離れた、弱くて脆くて自分の気持ちに正直なティボルトに見えた。渡辺さんがいてくれたからこそ存在できたティボルトであったと思うんだけど、だからこそ私はこの2人のティボルトに出会えてよかったと思ってる。

とにかくジュリエットへの気持ちが強いティボルト。キャピュレットにいるいちばんの理由はジュリエットを守るためで傍にいるためだった。キャピュレット夫人の甥だからキャピュレットの跡継ぎになってしまったような感じがして。ジュリエットへの気持ちはもちろん第一にあるけれど、自分の立場上その気持ちを周りに話をすることができなくて。好きでもない女を今までたくさん抱いてきたんだろうな。
色気はだだ漏れるほどあるし、中の人が良い男*4だからどんな女からもモテただろうし、ティボルトとしても信頼のおける存在だっただろうけれど、どこか頼りなさもあって。キャピュレットが借金を背負っていたこともパリスからの話で知ったような感じがあった。ジュリエットを想う気持ちがいちばんだから、ジュリエットのことになると他のことなんて目に入らないくらい突進してしまうティボルト。「だがキャピュレットの跡取りはこの俺だ」って勢いで迫る前に「だが!」って叫びながら交渉する彼は感情が強く出ちゃうからキャピュレット卿に素っ気ない態度取られちゃうんだろうな。
仮面舞踏会でジュリエットのことをパリスに近づけないようにしているのがまた紳士ぽくて格好良いなと感じさせられる。けれどジュリエットの手を取って踊る姿にどこか独占欲みたいなものも垣間見えて。パリスに渡したくない気持ちとジュリエットを想う気持ちが隠しきれていなくて少し強引に彼女の手を取る姿に怖さがみえたことに驚いた。ジュリエットはパリスから逃げるのに必死で、ティボルトが手を取ったことにも踊っている時も少し戸惑ってはいたけれど、それでもエスコートの仕方は優しくて。強引さもあるけれど優しいんだよな。ジュリエットがロミオが仇の男だと知ると「やめて!」と叫んだ時に振り返るティボルトの早さ、そして走り去るジュリエットに優しい目をして触れるティボルトに、この物語の中でティボルトとジュリエットが同じ場所にいるのはここのシーンだけなんだけど、”強くて優しい”ティボルトを感じることができた。それでもティボルトの手を放して駆けていくジュリエットに自分の想いが届いていないことを感じて、ティボルトを縛っているものの大きさを実感してしまう。子供の頃の夢を語る姿やジュリエットを想っているときには優しい目をするのに、大人に植え付けられた憎しみに対してはボロボロになって語るその姿に、ティボルトの憎しみの矛先は他でもない大人なんだって気づかされた。もちろんロミオやモンタギューが憎いのもあるけれど、ジュリエットを想っていても、その気持ちすら誰にも言えないことが彼にとっていちばん辛かったことなのかもしれない。誰かに助けを求めることすらできないティボルトはジュリエットの存在だけがキャピュレットに彼を留めてくれたんだろうな。そうじゃなかったらここから逃げ出してしまいそうな、そんな弱さがティボルトにはあったように見えた。

ロミオとジュリエットの結婚を知ったティボルトは今まであった憎しみを全てロミオに向ける。どこかのアフトで古川くんが「今日こそその日」はティボルトのロミオへの復讐のような曲だってお話をされていたけれど、私も同じように聞こえていて。ティボルトにとっての生きる糧であったジュリエットをロミオに取られてしまった復讐心が強くて。一気にティボルトであり、ティボルトでなくなってしまったんだろうな。「さあ!戦いの時間だ」の気合はすごかったし、ティボルトにとってこの戦いはジュリエットを守る為だけの戦い。「ジュリエットを守る=自分を犠牲にする」ことだから、マーキューシオとの言い合いでは、浴びせられる言葉と自分の出す言葉ですら自らを削りながらで。「誰もが自由に生きる権利などない」とロミオとベンヴォ―リオに向かって叫ぶティボルトは全てを失ってしまった地獄の底からの叫びのようで。喧嘩を止めに入ったロミオの言葉が入ってきていたのかもしれないし、戦うことで今の自分のことを正当化していたのかもしれない。ジュリエットの幸せを考えた時に、いちばん彼女を幸せにしてあげることができるのはロミオであると気が付いたのかもしれない。それでも握り上げたナイフを下ろすことはできずにマーキューシオを刺してしまう。それまでは何とか立てていたものが全部崩れるようにティボルトを襲ってきて1人で立っていられなくなる。人殺しになってしまった恐怖、これから待つであろう刑に対する不安、これからジュリエットは誰が守っていくんだろうという全てのことに対する未来が見えなくなっていて。ロミオと対峙した時のティボルトからは気持ちがぐちゃぐちゃになって溢れているようで。泣いているようで、それでもロミオの頬に手を添えた瞬間に、もう少しロミオがティボルトを刺すのが遅ければ、ジュリエットのことを幸せにしてあげてくれ。って一言が聞けるのではないかと思うような最後のティボルトの優しさが見えた。ロミオに刺されたラスト、息を引き取るまでの時間、様々な葛藤がありながらも最後まで苦しそうにしていた彼の心は計り知れない。それでも最後はジュリエットが傍にいてあげてほしかった。キャピュレット夫人の顔を見ながらお前じゃないって顔を歪めながら生きを引き取った日にそんな風に感じた。

これを書くより前に廣瀬さんの最後のシーンの解釈というか、気持ちを知ってしまった今廣瀬ティボルトにしんどい気持ちでいっぱいなのですが、私が思っていたよりもずっとずっと深い愛でジュリエットを想えていたから”強くて優しい”ティボルトでいられたんだろうなと思う。






ヴェローナでのモンタギューとキャピュレットの争いによって生まれた憎しみが作り出した化身のような存在だったのかなあ。結局最後まで死はよくわからなかった。何者でもないんだけれど、何者かではあるんだよね。
ヴェローナでごく普通にある日常、争いの場、愛が育まれる場所、そのどこにも死はいてそっと街を見下ろしている。それぞれの愛が大きくなるとき、形が変わる時にはいて、影のようで死神のようで、神のようで。そのどれもが形を変えた存在でこの街の「愛か死か」を決めていたのはもしかしたら死だったのかもしれない。物語が始まるヴェローナや仮面舞踏会などのモンタギューとキャピュレットの両家が一緒にいる場所には必ずいて。そこにはどこかに愛か憎しみが存在していた。この街の”憎しみ”を脅かしてしまうくらいの愛がいちばん大きくなるのがエメで。それだけ大きな愛を育んでいる場所では死はより大きくなる。ロミオとジュリエットの2人を覆ってしまうくらいの影。死にとって愛、平和がいちばん嫌いとしているものだからそれだけ大きくなるんだろう。今まではどこかに死の存在を感じていたロミオも愛が大きくなりすぎてしまったことで死の存在があれだけ大きくなっているのに感じられなくなる。この影のような存在に気が付かなくなってしまったことで、死に対する恐怖心みたいなものがロミオの中から消えてしまったのかもしれない。それが、ティボルトを殺してしまったことでまた蘇る。その影は今まで感じていたものよりも大きくなって。ロミオの死を予言するかのように、そして予感させるように大きくなる黒い影、そして最後には薬売りとしてロミオの前に姿を現すのは、いちばん死の存在を感じ、また死の運命すらを脅かしてきたロミオの前にだから現れたのかな。
この街の憎しみが作り出した化身だから、モンタギューとキャピュレットが和解することで”憎しみ”という感情がヴェローナからなくなることで死も死ぬ。憎しみがないと生きていけない彼は自分の存在を近くに感じていたロミオの傍にいることで街の憎しみを増長させていたのかもしれない。



- 大貫勇輔

大貫さんの死は 黒い影に近いような存在だった。そっと姿を現し、街を見下ろす。そしてロミオの傍に現れる。ただ気が付いた時にはその姿はもうなくて。いるようでいない、見えるところには出てこない、軽いって言い方をすると伝わりにくいかもしれないけれど、私には軽いものに見えた。軽くて、見えないの。空気みたいな影だった。

大貫さん、とにかくこのコンテンポラリーダンスがすごくて、肩甲骨の動きが綺麗すぎて毎回見惚れてました。表情も大きく変わらず無って感じがまた現実のものではなくて。肌の白さと黒い衣装と身体に刻まれた模様のコントラストが異種とする存在感を増させていたのかなと思う。
カーテンコールでティボルトたちと仲良く歌ってる姿がめちゃくちゃ可愛かったですーーー!!!



- 宮尾俊太郎

宮尾さんの死は死神のような死だったな。ふと気がつくとすごい存在感でそこにいる。でも姿は見えなくて、ただその影だけはしっかりとそこにいる。人を死の世界に呼んでいるようで。感情がないものとして見てはいたものの、宮尾さんからはもしかしたらこの街自体になんらかの感情を持っているようにも見えた。
霊廟でジュリエットが命を絶つとき、その魂をもらっているような動きに怖さとその魂を待っていたように嬉しそうに見えて。ねっとりとした死だった。自分の存在に気がついて、と言っているようなふと気がつくと死に覆われてしまうような大きな重い存在感だった。

宮尾さんのダンスが生で見られたのがものすごく嬉しかった。バレエ全然詳しくないけれど、宮尾さんのお名前は存じていたので、なんかすごく贅沢な時間だったなあと思う。千秋楽の挨拶でヒロティボを後ろ向かせてお話されていたのを始め宮尾さんの死を引きずっているのかそれが宮尾さんのキャラクターなのか、すごく面白くてすごく好きです!!お仕事の都合なことはわかっているけれど大阪でしか見られなかったのが残念だったなー!もっと宮尾さん見たかったです!!






お話はここまで。本当はもっと語りたい人とかいたんですよ。乳母とかキャピママとか神父様とか大公とか…… 今回は長くなりすぎたのでここまでです。まずはメインキャストさんたち。長々と読んでくれた方、お疲れ様です、そしてお付き合いありがとうございました。ちゃんと目を休めてくださいね…… 色々、色々書いたけど、全部私の主観でしかないです。

さて、ミュージカル ロミオ&ジュリエット。気がついたら平成最後にハマった作品になりました。平成ラストを飾るのには大きすぎる作品!受け止めきれてないところもたくさんあるけれど、本当に楽しくて仕方なかった1ヶ月半だったな。

2019年の春に平間くんのマーキューシオに出会えて幸せだったなあ。まさかこんなに狂わされるとは思ってもみなかったけどそれも楽しかったから良い思い出。


ロミジュリのお話楽しくて書いてるとわからないこととか見れていないところとか気がつけたり、あんなことあったなーとか思い出してとにかく楽しかった。

ひとまず私のロミジュリはこれにてお終い。
楽しいロミジュリ期間をありがとう。キャスト、スタッフのみなさんお疲れ様でした。感謝しかない。ロミジュリに出会えてよかったー!!


またいつか、未だ見ぬ恋人探しに行ける日が来ますように!








*1:ロミジュリ一応2040年の設定みたいなんですけど、個人的な解釈としては嘘だと思ってる

*2:ポケットを叩くとチケットが1枚増えてくシステム

*3:私がマーキューシオやティボルトに肩入れしながら見ていることが大きいからと言われたら否定はできない

*4:口癖なんですけど廣瀬友祐、とにかく良い男なんです