落とし物箱

出会っちゃった人たちの話がしたい

幻を目撃した日々 〜 ミュージカル ドン・ジュアン






颯爽と姿を現したと思ったら幻のように姿を消し、瞬く間に過ぎ去っていったミュージカル ドン・ジュアン
今でも幻だったのかもしれない、と感じてしまうくらい一瞬の出来事だった。それもこれも全部ドンジュアンらしいなってたまには彼のこと思い出してしまうんだろうな。


藤ヶ谷太輔初主演初ミュージカル作品を上演すると発表された2019年4月。藤ヶ谷くん歌上手いから特にミュージカルをやることに対して心配することもなく、すごいな、ちょっと気になるな、見たいけどきっと行かずに終わるんだろうなあくらいにしか考えてなかった。
この作品があるのを忘れかけてた2019年6月11日。なんとまあ、推しである平間くんの出演が発表された。驚いたわ、色々と。それからは瞬く間に時間が過ぎていって、前情報が全くなくて*1、それでも遠くの方で稽古の始まっている足音がかすかに聞こえて*2、けど一向に赤坂ACTシアターにはポスターが1枚どころかその姿すら見えなくて、仮チラシも本チラシもGETできないまま*3本当にドンジュアン上演するの?もしかして私の幻覚なのでは?と思ってしまうくらい不安なまま初日の幕が開きました。
平間くんがこの作品に出演するのが決まってから宝塚版のドンジュアンを見て、こんな、男尊女卑な平間くんが見れるの!?と意気揚々としてたらラファエル像が全く違って作られててびっくりしたけど平間くんらしいラファエルくんになってたんじゃないかなって思った。日本では宝塚版が先にあったからそれに捉われてしまうことだってあっただろうに、ガラッと新しいラファエルを届けてくれたことが嬉しかった。きっとまたたくさん悩んで悩んで作ってくれたんだろうなあっていうのも同時に感じてた。




では本題。安定の前置き長すぎ芸人( ^ω^ )
今回ブログ書こうかなどうしようかなってずっと迷ってたんだけど今回はあんまり呟くこともしてなかったから感想と個人的な解釈を見返せるように残しておきたくて書きました、完全自己満ブログ。ほんとに終わった今もドンジュアンは幻だったんじゃないかと思うくらいなんかこう、現実味がなかったから、まだ記憶が鮮明にある内に書き残しておきたい。



ドン・ジュアン - 藤ヶ谷太輔

藤ヶ谷くん初ミュージカルっていうのを聞いて最初に思ったのが「まだやったことなかったんだなあ」っていうほんとそんな感想だった。それくらい全然歌に対して不安はなかったし、お芝居もそんなに心配してなかった。なんでもソツなくこなすイメージがあったからきっと藤ヶ谷くんらしいドンジュアンになるんだろうなって思ってた。宝塚版みたらもう男性が演じるなら藤ヶ谷くんしかいないんじゃない!?とすら思ったもん。幕が開いて見たらやっぱりちゃんとドンジュアンだった。
最初に藤ヶ谷くんのドンジュアンを見たときなんかさっぱりしてるな、みたいな物足りなさを感じたんですけどこれはドンジュアンの感情が全部モノクロみたいだったからかもしれないなって。彼はたまたまお金を持っていて、たまたま容姿が良くて、たまたま名誉があって。たまたま周りが欲しがるものを全部持っていたから彼自身、不便を感じるようなものはなにもないから何かに熱中することがなかったんだろうな。全ての世界に対して諦めていて、見放しているような感じがした。たまたま全部持っていた彼の選んだ娯楽が女と酒だった。娯楽だけど本当に楽しんでいるわけではなくて、暇つぶしみたいな、することないし、程度の遊びのようだったんだよな。
ずっとドンジュアンがどうしてこんなに剣の腕が立つのか、女が絶えず近くにいるのか、考えていたんだけどその答えって多分ラストの亡霊が教えてくれていると思っていて。「お前は人間ではなかった。」彼は人間じゃなくて、きっと人の形をした魔物だったのかもしれないなあと考えるようになった。だから誰にも負けない力を持っているし、誰をも魅了する力を持っている。それは男や女に限らず。簡単にいうとヴァンパイアみたいな、人の姿をした吸血鬼はどこか人間離れしていて周りの人を惹きつけるじゃないですか。ドンジュアンってそんな存在だったのかもしれないなあって。愛を知るまでは。
その愛を教えてくれたのは亡霊。亡霊は"愛"という感情と一緒に今までドンジュアンの中でモノクロだった感情に色をつけた。それが 11場/石の像 でマリアが一度だけ空に向かって杭を打った時。亡霊もその杭を打つ仕草に合わせてドンジュアンに何かを打ち込む。それが愛だったのかなって。打たれたドンジュアンを見たときにパッと色が灯ったように見えたの。この表現すごいなって感じた。花が咲いたようだった。これで彼は(亡霊に芽生えさせられた)マリアとの愛を知って"人間"になる。けれど周りは彼が"人間になる"ことを許さなかったんだろうな。それを知ったからドンジュアンは"人(間)であるために死ぬ"ことを決める。きっとこのままマリアと生き続けていたらまた人間のままではいられなくなってしまうから。
ドンジュアンにとっての勝利は"人間になる"ことだったのかもしれないなあ。それを思うとドンジュアンの一人勝ちになるのかもしれない。この物語、勝ち負けを決めるものではないけれど、決闘でのドンジュアンの勝利が印象に強く残っているからこういう風に考えてしまうのかもしれない。
藤ヶ谷くん、これからもミュージカルに挑戦してほしいし声の伸びがとっても綺麗だからビブラートを操れるようになったり歌の技術面を上げていったらきっとそこに表現力がくっついてくると思うからすごい人になれる気がしてるんだよ。外部がウエメセみたいな言い方になってしまったけれど、それでも今回で終わりにしてしまうのはもったいないなあって感じたから、またいつかチャレンジしてほしいなって思う。




マリア - 蓮佛美沙子

蓮佛さんのお芝居いつか生で見たいなって思ってたから念願叶って嬉しかった!映像で見てて可愛いなって思ってたけど本物はもっともっと可愛かった……
今回はラファエルがすごく優しい人にシフトしちゃった分マリアがほんとに酷な女に振り切ってしまったのが残念だったなって思うけどこの作品、誰かは必ず酷な人間にならないと成立しない物語だと思うから(宝塚版はラファエルが酷な男だったしね)その一手を担ってくれてありがとうという気持ち。
あまりにも身勝手な女なんだけどまあだいたい亡霊のせい(あとで詳しく書きます)だから仕方ない。
それでもやっぱり… ラファエルのおたくとしてはもう少しラファエルのことも見てあげて…という気持ちがあったけど仕方ない、だって亡霊が悪いんだもんっっ
きっとマリア自身は何も悪くなくて、亡霊の巧みな操りによってドンジュアンと恋に落ちざるを得なかったんだろうな。それでもマリアほんと酷い女…ってずっと思っててごめん、カテコでたくさん構ってくれてありがとうございました!!!平間くん、すごく嬉しそうだった!




ドン・ルイ・テノリオ - 鶴見辰吾

いや〜すっごいパパだった……
鶴見さん、ミュージカルで拝見するのは初めてだったのですが歌の表現力と迫力にずっと圧倒されていた… ほんとすごい、鶴見さん。
2幕2場/ドン・ルイとエルヴィラの諍い での迫力、私も毎回エルヴィラと一緒に肩を竦めてたよ…
エルヴィラの気持ちもラファエルの気持ちももちろんドンジュアンの気持ちも全部汲み取って最後は大きな包容力で包み込んでくれるのはきっとそれだけたくさんの人生経験を積んできているからだろうなあ。
最後ラファエルを許してあげるドンルイテノリオは息子を人間にしてくれてありがとうという気持ちとラファエルが1人で背追い込みすぎないようにしてくれる魔法みたいだったな。あそこの演出、ほんとに大好きで、決闘の最中からラファエルのことも気にかけてくれるドンルイテノリオはもしかしたらこの結末が見えていたのかもしれないな。
それにしても、ラファエルくんと絡むシーンはここだけなのにいちばん頭に残って離れないのほんとにすごい。お芝居のぶつかり合いを見るのが大好きな私は2人の気持ちが痛いほど伝わってきていたよ…
ドンルイテノリオ、鶴見さんで良かったな。




ラファエル - 平間壮一

平間くんラファエル、平間くんらしくて優しくて、その優しさが仇となって迷いが生じて、ずっとずっとマリアのために迷って足掻いてた。
幕開く前に生田さんのインタビューでラファエルはのび太くんの成長物語みたいにしたいって言ってたって聞いて、あの、ラファエルをのび太くん…?ってずっとクエスチョンマークつけながらみてたんですけどここも生田さんの言ってることがすとんと落ちたなあ。初日は生田さんのお声を聞いたことがないのに頭の中でずっと生田さんボイスで「のび太くん…のび太くん…」と囁きが聞こえてた。
そして初日見てのび太くんもそうなんだけど何かが物足りなくて、ずっともやもやがうずうずしてたんですよ。もちろん宝塚版みたいなラファエルが見られるかも…みたいな期待をしていた分優しさのベクトルが強くなっててそういう方向性!?ってびっくりしたのもあったんですけど、2回目に見てわかった。これ結局初日だけだったんですけど2幕、ラファエルくんずっと手袋していたんですよ。ああ、今回の衣装はずっと手を見せてくれないんだなって、寂しくなったの。今回のドンジュアンで知れたのは思っていた以上に平間くんの手のお芝居が好きなんだなってことだった。綺麗なお指がみられることはもちろんなんだけど、平間くんのお芝居って"手"に意味を持たせることが多いから。表情だけでは出しきれない感情が伝わってくるあのお芝居がすごく好き。
ドンジュアンの公演に際して宝塚版といちばんキャラクターが変わったのは言わずもがなラファエルでした。ここまでラファエルが優しくてずっとマリアを大きな心で受け止めようとしていたからこそマリアの酷い女さが浮き彫りになってしまったんだろうなと思う。ラファエルってこの物語の中で唯一ドンジュアンの魔力に惹かれなかった人間だった。だからドンジュアンを人間にする役割を与えられたんだと思っていて。剣の腕だけだったらラファエルはドンジュアンを殺せないこともわかっていて、そもそもラファエルは人を殺すことができないんだろうなあ。それでも戦わないといけなかったのはもしかしたら自分の居場所を見つけるためだったりしたのかな。「私のために人が死ぬなんて絶対に嫌」と言ってその場を離れるマリアを追いかけるラファエルの気持ちよ… あまりに苦しすぎて毎回追いかけなくていいんだよ…と思ってた。
ラファエルくんがいちばん"可哀想"という言葉が似合ってしまうのがまた悲しくてね。何も悪くないのになあ。ただマリアを愛して戦地に向かって仲間を失って戻ったら唯一の拠り所だったマリアに昔の恋だったのよって言われて。こんな可哀想な男いるか!?それでも貫くマリアへの愛、格好良かったな。
最後、ドンジュアンを刺してしまってから自分が人を殺めてしまったという動揺があまりに人間味がありすぎて、ドンジュアンとの対比がすごく良かったんだよな。決闘には勝てたのに、結局敗北してしまうラファエルくん。ドンジュアンの息の根を止めてもマリアが自分の方を向くことはなくて、すごく切なかった。2幕11場/愛のために、俺は死ぬ で刺されたドンジュアンがラファエルの近くに来た時、ラファエルは膝立ちしてドンジュアンのこと睨むの。そこまではラファエルは負けたって思っていないんだよな。身体はボロボロなのにいつでもドンジュアンに立ち向かえる気持ちがあるの。そしてドンジュアンの「彼女の心で生き続けるために」って聞いた瞬間彼の中の点と点が全部繋がって敗北を知る。ラファエルにとってこの決闘って罪を選ぶか罰を選ぶかの2択しか残されていなくて。ドンジュアンに殺されたらそれは彼にとっては罰なんだろうし、ドンジュアンを殺してしまったらそれは罪になる。
2幕12場/ドン・ジュアンの死 で「誰のことも恨まない」とドンルイテノリオが口にするけれど、ラファエルは誰かに攻めてもらった方が楽になれただろうし、ドンジュアン殺しのラファエルと言われた方がまだ良かったのかもしれない。結果周りから肯定される殺しになってしまったの、ラファエルにとってはいちばん辛い結末になってしまった。知らんけど。あの、決闘の場から立ち去ろうとするタイミングってもちろん周りのドンジュアンへかける言葉を聞いていられないっていうこともあるけど、彼が動き出すのはマリアが言葉を出した瞬間なんだよね。もう居ても立っても居られなかったんだと思う。決闘で勝利を手にしたのに、結局負けて。もうプライドとかそういうのとかどうでもよくて、負けた事実(負けてもマリアは彼の元に帰ってこないこないからね)の方が辛くて。決闘の場から立ち去る彼を引き止めるドンルイテノリオドンルイテノリオによって閉じこもってしまいそうになったラファエルは解放された。どんなに周りにこの結果を肯定されたとしてもラファエルにとっては超えてはいけない一線を超えてしまったことに変わりはないから。それをみんなの中に導いてくれたのはドンルイテノリオなんだよなあ。ほんと、あそこのお芝居がいちばん好きだった。ちゃんと居場所を見つけることができた。これからどこか遠い国で1人そっと過ごせてるといいなと思うよ。
平間くんの大好きなお芝居たくさん見ることができて、ラファエルくんの姿を見せてくれてありがとうという気持ちでいっぱい。最後にちゃんとちぐはぐだなと思ってたところまで解決させてくれる平間くんにはもう頭が上がらないしとにかく繊細で緻密につくられた平間くんのお芝居が好きだ。あと、今回は肌で感じられるくらいにお歌が上達しすぎててびっくりしたんだよ。いつの間にこんなに上達していたの… この作品、オーディションだったって聞いて、ちゃんと作品を選んで出演してるのがわかって嬉しかった。自分に必要なものの取捨選択ができているの、本当に信頼が厚い。お芝居はもちろんなんだけど、そういう仕事との向き合い方にも絶対的信頼があるから、また今後の新しい作品へのチャレンジが楽しみで仕方ない。




ドン・カルロ - 上口耕平

上口さん今回の作品で初めましてでした。
透き通った歌声に毎回感動してた。そして隠しきれないダンスの上手さよ…
今回、私がずっとイザベル定点してたっていうのもあってカルロがいちばんよくわからなかった。けどカルロもドンジュアンの魔力に惹かれた1人なんだろうなっていうこと。ドンジュアンと同性だからっていうのを理由に"友人"と名乗ってはいたものの、すごくドンジュアンに執着していたし、ただ単純にドンジュアンのことが好きなんだろうなっていうのを感じてた。もしカルロが女だったらエルヴィラみたいになっていたのなもしれないな、だから彼はエルヴィラに惹かれた。エルヴィラを通して自分の本当の気持ちをドンジュアンにぶつけているようにも感じてた。
ラスト、彼がラファエルにドンジュアンを殺めたラファエルの剣を渡すのが結局最後までわからなくて。その渡し方も初日近辺はラファエルを突き放すように投げ渡していたけど割とすぐに優しく背中を抑えながら渡すようになっていて。カルロにとってこの剣をラファエルに渡すことが彼がラファエルの行動を肯定したことになったりするのかな… うーんわからん… けど許したんだろうな、とは思う。カルロがいちばん心の居場所がわからなくて、それでも対等にドンジュアンと話すことができたのも、ちゃんと言葉をかけてくれるのもカルロだけだったからドンジュアン、カルロにもう少し優しくしてやれ、って思ってたよ。
エルヴィラとの会話で「彼(ドンジュアン)は友人だと思ってくれてるからはわからないけどね」と言いながら笑い合う2人をみて、もしかしたらカルロがちゃんとエルヴィラを意識したのはここなのかも… カルロがこの作品の中で最初で最後に見せてくれる素の笑顔。すごく素敵だったなあ。
2幕1場/呪い での上口さんの重力を全く感じずに指先から足先までの綺麗なダンスに魅了され続けてたので来年はもっと上口さんのダンス見たいなあって思ってる。ヘアスプレーでもよろしくお願いしますね!




エルヴィラ - 恒松祐里

いや〜可愛いエルヴィラだったな……
恒松ちゃん、ごじくじのさとみの妹ってイメージしかなかったのでお芝居のうまさにびっくりした。
1幕8場/望むならば がとにかく大好きだった。周りに獣たちを従えて本意じゃない表情で歩くエルヴィラ、その姿が哀れで心がぐちゃぐちゃひなって、それでも堂々としているのが格好良くて報われてほしいなっていつも思ってた。あの場面のエルヴィラの辛さが痛いほどに伝わってきてた。「似合わないことはするもんじゃない」ってカルロじゃなくても言葉をかけたくなってしまう。
ドンジュアンへの愛が深くて、それでも伝わらなくて。2幕2場/ドン・ルイとエルヴィラの諍い でのエルヴィラの見せた女の怖さ、闇が深すぎてめちゃくちゃ好きだった。でもここも無理してるようなのがまた伝わってきて、ほんとにエルヴィラって切ない、愛してはいけない男を愛してしまったんだなって感じてたよ。
恒松ちゃんすごくお芝居が細かくて繊細だなという印象。ちゃんと気持ちの繋がりがわかるの。私がラファエルのおたくなので決闘中のエルヴィラを見れなかったのが今とても悔しい。どんな表情で、どんな気持ちであの決闘を見守っていたんだろう。いつか恒松さんからエルヴィラのお話聞いてみたいな。




騎士団長/亡霊 - 吉野圭吾

だいたい亡霊が全部悪い!!!
私がドンジュアンに通い続けてずっと思ってたしずっと感じていたことでした。今回のミュージカル ドン・ジュアンは全部全部亡霊の策略によるものだったなっていうのが私の結論。きっと誰よりもドンジュアンに執着しているのは騎士団長で騎士団長がいちばんドンジュアンのことを愛していたのかなあとも思った。ま、そんなこと騎士団長は絶対認めないだろうけどね。
ドンジュアンに復讐したいなら愛じゃなくてもっと別の呪いでもかけて簡単に復讐できそうなのに、本当の愛を教えてやろうという気持ちがあるのはやっぱり騎士団長の優しさだったりするのかな。この物語の根幹である"愛"がまだよくわかっていなくて。未だにどうして愛の呪いで復讐するんだろうと思ってる自分もいる。まあここを責め始めたら終わりが見えないから考えないようにしてました、おそらくぐるぐる回って迷宮入りしてしまう。
ドンジュアンと騎士団長の決闘前、娘にお前は何もしなくていい。そこで待っていなさい。と言っているような首を2回横に振るのが大好きだった。あとは生き絶えてから手を伸ばして娘が間に合わないのも好きだった。 吉野さん今回の作品で実際に見るのは初めましてでした。(後で吉野さんのこと調べてたらバイオにも出演されてた、映像でしか見てないけど拝見はしてたみたい。) キャラクターも相まってだとは思うんだけど、そこに立っただけで成立する存在感にすごいな…と感じた。ほとんど特殊メイクみたいなメイクだったからちゃんとお顔が拝見できるのはドンジュアンとの決闘のシーンだけだったのが寂しかったな。あと単純にお歌もっと聞きたかったなあ。




イザベル - 春野寿美礼

すみれさんかっこいいー!!!って毎回幕間と終わりに叫んでました。すみれさんはかっこいい。
すみれさん、ロミジュリ以来だったのですが完全に虜になってしまった… 最速ラファエルが出ていないときはイザベル定点してた、エルヴィラを嘲笑ったり、酒場のマスターといちゃいちゃしたり、ドンジュアンの周りの女たちに嫉妬したり、本当に色んな表情を見せてくれてた。このセビリアの街で誰よりも色んなことを経験してきているから、笑って流せる包容力のあるイザベルだったな。
ドンジュアンへの愛は変わらず持っていて。叶わない愛、それでも愛することがやめられなくてセビリアの街を離れられないんだなっていうのを感じたし、笑って周りを見守っているようだけど隙があれば必ずドンジュアンにアピールするの、ほんとうに可愛いくて健気だった。
1幕3場/俺の名は でドンジュアンが話始めるとセビリアの女たちみんな酔いしれていくように動き出すけどいちばん最初に動き出すのはイザベルだったし、ドンジュアンを囲む女の輪から離れていても彼の声を聞くだけで勝手に身体が動いてしまうように踊り出すイザベルにもう理屈じゃどうしようもならないものすら感じてた。遠くで女とイチャつくドンジュアンのことを一瞬も目を離さないで見ていたり、その事実に傷ついて、でもそんな素ぶりすら見せずにすぐ笑顔に変えるの。ほんととにかく格好良い女なんだよなあ。
イザベル、自分の気持ちも現実も全部わかっているからこその「友人?馬鹿いわないで。」「ただの女。」「愛しているの。」って言葉、自分自信にも聞かせているようでそれでいてそんな自分を馬鹿みたいと思ってる自分もいる。なんだかそれがすごく切なくて、でもそれすら乗り越えたイザベルは凛々しくて格好よくて、でもどんなに格好よくてもやっぱり"ドンジュアンを愛する女の1人"って存在にしかなれていないのが切なかった。
すみれさん、ほんとに素敵なお芝居して可愛いって感じる瞬間もたくさんあって、でも凛々しさとか格好良さも備わっててもちろんもちろんお歌が素敵すぎてほんとうに魅了されすぎた…… こんな格好良くて切ないイザベルいないよ…… ロミジュリからしばらく会えないのかなあと思ってたけどこんなに早く会えるなんて思ってませんでした!ほんと嬉しかった!またすみれさんのお芝居みられますように!








ミュージカル ドン・ジュアンを見るのにあたってさっきも書いたけど宝塚版のドン・ジュアンも見て、比較ってわけではないけれど、ミュージカルの方見てからまた宝塚版を見たら私の中でもやもやしていたものが一気にすとんと落とし込めたからちょっと宝塚版のお話も入ってきます。


今回のドンジュアンは亡霊(騎士団長)のところでもお話したけど、彼が全てを握っているんだなっていうのが全体を通して見ていた印象だった。宝塚版は亡霊はただのきっかけにすぎなくて、人と人との出会いとか運命みたいなもの、それぞれの心の動きや流れからドンジュアンとマリアは惹かれ合ってしまうのがわかった。それが今回はどうしてもドンジュアンとマリアが惹かれあう理由がわからなくて。だからと言って、理屈じゃない何かも存在しないようだった。ただそこに亡霊の存在が浮き出るように、一際目立つ存在に意味があるのが見えてきた。ああ、これは全部亡霊の仕業で全部亡霊が仕組んだことだったんだなって。
騎士団長がドンジュアンに決闘で負けてしまうのもそれすら騎士団長の策略だったんじゃないかなって。考えれば考えるほどだいたい騎士団長のせいだなあ!騎士団長がドンジュアンに愛の呪いをかけたその日からドンジュアンの未来は決まってしまっていた。騎士団長はマリアに対して「彼(ドンジュアン)は君を選んだんだ」というけど、選んだのは間違いなくドンジュアンではなく騎士団長なんだよ。だって愛(と感情)を確実にドンジュアンの中に芽生えさせるように打ち込むんだもん。その相手がたまたまマリアだった。そして騎士団長の掌の上で転がされるように彼の駒になっていく。ラファエルがいたからマリアが選ばれたのだとしたらマリアもラファエルもあまりに悲劇。それでも選ばれてしまったのだからもうこの運命に従うしかないんだ。
ラファエルたち兵士が戦地の状況として目立った戦闘も起きていない、遊びに行くようなもんだって言葉。これ本当だと考えてて。騎士団長の思うまま駒を進めようとした時、戦地を悲惨なものにしてラファエルの復讐心を増長させた。悲惨な状況の中ラファエルが生きて帰ってこられたのも騎士団長の作るページの1つに欠かせないことだった。戦場のシーンの前、彼らを呼び出すのは騎士団長。それがよりドンジュアンを決まった未来へ導くために戦地を悲惨なものにしたんじゃないかと思わされてしまう。
2幕1場/変わる でドンジュアンに周りの人たちが自分とマリアとの愛を祝福してくれる笑顔を見せたり、2幕1場/呪い では逆に周りの人の憎しみのような誰も祝福していない顔を見せるのも亡霊なんだよな。亡霊が彼を操っているようにすら見える。宝塚版の 呪い ってマリアが少しだけ微笑むんだけど、今回のは一切笑わない。それが"亡霊がマリアを連れてきた存在"を際立たせてやっぱりお前のせいか〜ってなる。
考えれば考えるほど、やっぱりだいたい亡霊が悪い。

でも亡霊もドンジュアンに固執してしまっているから、結果みんな彼の魅力に惹きつけられてしまっている。ドンジュアンという男はそういう男。男も女も、心がある人はみんなドンジュアンの魅力という名の魔力に惹きつけられて離れられなくなるんだろうな。カルロだってドンジュアンに惹かれた1人の人だった。それが街で「悪魔のような男」と例えられた理由。唯一彼の魔力にかからなかったのがラファエルだった。だからラファエルにはドンジュアンを人間に戻す役割を与えられたのかなあと考えてる。
悪魔に捉われなかった人間は悪魔を人間に戻せるんだ。だからその役割を担えたのはラファエルだけだった。結局亡霊もドンジュアンの魔力にかかってしまった男だから、ドンジュアンを人間にさせるために彼の人生に手を差し伸べてるみたいだったな。ラファエル良く仕事した。もう肩の荷を降ろしてゆっくり休むんだよ。誰も自分のことを知らない遠い地でのびのびと暮らしてほしいな……






ミュージカル ドン・ジュアン、色々書いたけど私の感性的にやっぱり理解ができないというかわからないところが多々あったから、その点について考えるともう理解の及ぶ範疇を超えてしまって無理!ってなるのでわからないところは無視することにしてた。きっとその根幹であるこの物語の愛すらよくわからなくて、どうして愛のために死ななければいけないんだろう?という疑問はずっとあったけど、最終的にはいちばんはドンジュアンは人間になりたかったのかな、というところで落とし所を見つけました。
この作品に平間くんの出演が決まってから宝塚版を見てしまったから、宝塚版みたいなマリアのことも考えてるけどどこか物のように扱うラファエルも見たいなという気持ちは最後まで捨て切れませんでした。やっぱりいつかサイコっぽい、人外みたいな役平間くんで見たいな。目の前が真っ暗になったときの目きっと最高にしんどいと思うんだよ… だから刈谷公演で1幕のお芝居に怒りの気持ちを出してきてくれたのすごく嬉しかった。少しだけ見たかった姿を見せてくれた気がして。
こんな風には言ってるけど平間くんのお芝居の好きだなって思えるところがたくさん詰まってて、改めて平間くんの表現が好きだなって思ったし、これからもお芝居を見続けていきたいな、と思わせてくれた公演でした。


ほんとは大天使ラファエルと聖母マリアのお話もしたかったんだけど体力の限界だからまた気が向いたら追記するね!


ほんとにドンジュアン期間色々あったけど結果楽しんでたと思う!こんな長々とまとめてみたけどやっぱり終わった感じはしないから、どこか知らない土地でまだドンジュアンは続いているのかもしれないなあ……




*1:最近の作品では雑誌やネット媒体でのインタビューが出ることが多いので

*2:アンサンブルさんたちのSNSでにわかに聞こえてました

*3:ドンジュアン前に赤坂ACTでやってた公演けむりの軍団を見に行ったんだけど置いてなかった…