落とし物箱

出会っちゃった人たちの話がしたい

「泣くロミオと怒るジュリエット」最高のロミジュリでした




今の世の中、普通じゃないことが起こりすぎて観劇おたくが住むには住みにくい世界になってるけどあと少しでまた幕が上がると信じてるから!!今は楽しかったお話がしたい。
いや、私の検索能力が拙すぎて色んな人の感想が漁りきれないのでどうせならちゃんと感想書いてから漁ろうと思いました。泣くロミオへの気持ちをどばどば吐き出します!!という意気込み。


※ネタバレありなので控えたい方は読まない方が良いです








そんなわけで「泣くロミオと怒るジュリエット」を見に行ってきました。

観に行ったのは公演中止になる前の最後の公演でした。評判が良くてずっと楽しみにしてたからほんとにギリギリで滑り込めて私はラッキーだったんだけど見れなかった人にもこれは観てほしい作品。だからなんとしてもまた再演なり振り替えなりしてほしいんだけど難しいのかな…と複雑な気持ち。関西弁の私たちの住む世界の等身大になったロミオとジュリエット、その他登場人物にいつもより親しみを持ってみることができたロミジュリでした。


この「泣くロミオと怒るジュリエット」ロミオとジュリエットに良い塩梅でウエストサイド物語が入ってきてるような感覚になってた。まあ簡単にいうと「ウエストサイド物語の設定でちゃんとロミジュリをする」もちろん設定以外にもウエストサイド物語を感じるシーンはあるけどまあこんな感じ。ロミオはもうモンタギュー辞めてるし、ティボルトはジュリエットのお兄ちゃんだしソフィア(乳母)はティボルトの妻(?)彼女(?)だしなんかこういう設定のロミジュリも良いなって思った。同じ人でも関係性が変わるとその人が意識する人が変化していってでも起こる事件は変わらなくて。面白かった。
そしてヴェローナの場所が燻んだ戦後の日本の田舎町で、ロミオとジュリエットが私たちと同じ等身大の男の子女の子になっているのがすごく良かったなって。関西弁なのも好きになれたひとつだろうなあ。関西弁を聞くだけでテンション上がるタイプの人間なのでずっと耳福だった。ロミジュリ、面白いけどどこか遠い存在の人たちの話だったのが身近になることでよりこの2人の愛の尊さを感じたんですよね。あと笑いを入れてくるセンスが結構好みだった。笑えて泣けてしんどくて、感情の入り乱れ方が依存性のあるようなジェットコースター乗ってるみたいだった。


私がこよなく愛しているロミジュリは東宝版「ミュージカル ロミオ&ジュリエット」なんですけど今回の「泣くロミオと怒るジュリエット」もめちゃくちゃ大好きなロミジュリになりました。そしてどこまでも各キャラクターの解釈だったり味付けをすることができる原作がすごいなって感じました。それでいてシェイクスピアロミオとジュリエットへのリスペクトも忘れていなくて。これからも色んな形のロミオとジュリエットが見たいなって思いました。




各キャラクターについて書ける範囲で書くぞ!
あと感想解釈雑多です、台詞とか細かい部分はニュアンスで。言葉覚えるの苦手なので初めて聞いた単語はだいたい覚えてません悪しからず。





ロミオ - 桐山照史

今回の物語の中でいちばん純粋で無垢なキャラクターでしたね!!!!!
だいたいジュリエットの方がロミオへの愛に純粋で突っ走ってでも届かなくて…みたいなすれ違いのイメージだったんですけど今回は間違いなく純粋さはロミオの圧勝だった。今までは友人がいちばんにきていたところがジュリエットに出会った瞬間、それを蔑ろにしてしまうくらいジュリエットがいちばんになってしまって。その対比というかジュリエットへの気持ちをいちばんに出してるのがすごく良かったな。恋愛に奥手で苦手だからこその愛の表現がほんとに可愛くて愛らしくて。最後、ジュリエットとの結婚式を2人だけで挙げるシーンは辛い中にも幸せに満ちていて、やっと2人でスタート地点に立てたのに終わるしか選択肢がなくて。終わるのがわかっていてジュリエットを追いかけるロミオの姿に色んな感情が渦巻き溢れていた。だって見てる方はさ、もうこの時点で生き残る決断ベンの苦悩も知ってるから、純粋にお祝いするにもどうにも複雑でね、、、
照史くんのお芝居はいくつか見てきたけどこんなにピュアでキラキラした目をしたのは初めて見たのですごく新鮮でした。こないだ家の片付けしてたら2012年あたりの映像が出てきて見てたけど照史くん良い意味でなんにも変わってなくて8年前にもこないだ見た照史ロミオがいたのかもしれないな、なんて思いました。




ジュリエット - 柄本時生

時生ジュリエットめちゃくちゃ可愛いかった〜〜〜〜
とにかく可愛い。ジュリエットが等身大の女の子になるだけですごく近い人に感じた。男に惚れやすく貢ぎ癖のある設定も面白いかった。時生ジュリエットはおたく気質。ロミジュリってロミオとジュリエットの一目惚れから2人の恋が始まるけどこれは一目惚れももちろんあるとは思うんだけど、それ以上にジュリエットがロミオとの恋に進んでいいのか迷ってるうちにロミオの押しの強さに気がついたらロミオのこと見てたって感じがした。容姿じゃなくて中身で選んでるのもこの2人の良いところなんだよなあ。ロミオがいちばん欲しかった言葉を何の気なしにジュリエットが呟いたからロミオの拠り所がジュリエットになった。ロミオの側には「希望がある」「明日はある」なんて言葉言ってくれる人いなかったんだろうな。
そしてここに出てくるジュリエットはとにかく気持ちに繋がりがあってとても好き。脈絡なく気持ちがシフトしてると冷めちゃうんだけどそれがなかったのが好きにだったひとつでした。ロミオのこと、好きになっちゃいけないのに、考えれば考えるほど気になるどうしよう!!みたいな迷いとか、それでもやっぱり抑えられないからロミオの舟に乗ってみようって思う瞬間とか、もう何が言いたいって時生ジュリエットとにかく可愛い!!!最後、ロミオが横たわってる姿を見て、隣にある希望が失われて自分にとっての希望をひとつずつ繰り上げて繰り上げて話をするの、あまりに辛すぎた。ロミオと出会ってすぐはジュリエットの隣にあった希望はロミオじゃなかったのに。気がついたらジュリエットの隣にある希望はロミオで満ち溢れていて満杯になって、私の希望がないならロミオの所にいくことを選ぶの。そこまでに達するくらい短い期間で揺れ動く心がまだ世間を知らない等身大の16歳のそれであって周りを知らないから完成する究極の愛の物語だなと感じたんです。時生ジュリエット、最高に可愛いジュリエットだった。さいこう!!!!!


このロミオとジュリエット、決闘前に2人だけの結婚式を挙げずに天国に行った2人が幸せそうにロミオは白のタキシード、ジュリエットはウエディングドレスに身を包んで周りから祝福されてるの、あまりにエモいというかロミジュリなのにバッドエンドなんだけどハッピーな気持ちにさせられるの、ほんと罪深いよなって…ね……(語彙力欠如) そしてジュリエットのウエディングドレスを持つのがティボルトとソフィアなんだよ〜〜〜 え、なにそれ!!!!!ロミオの後ろには誰1人いなくて、ジュリエットの後ろには家族2人がいるのもまたロミオの孤独さみたいなの感じちゃうじゃんね、隣にマキュとベンが並べばいいのにそれは許されないあの空間がめちゃくちゃしんどかったんだ…




ベンヴォーリオ - 橋本淳

ロミジュリの中でも特に味というか存在感が出にくいとされている役(私調べ)ベンヴォーリオ。泣くロミオも例に漏れずかと思いきやいちばん中毒性のあるヤバヤバのヤバなベンヴォーリオがここに誕生していました!!!!いや観劇前に話題に上がってていちばんベンがやばいのか… ベン… おい… って構えていたのにそんな盾存在しないくらいに殴られてしまった。
ベンヴォーリオのロミオへの友情とかもろもろの感情がデカすぎて!!!そんなん誰も受け止められないよ!!!!!
ベンヴォーリオ、いちばん食らったのはやはりローレンスとジュリエットの仕組んだヴェローナ脱獄作戦の内容を全部理解した上でベンヴォーリオはロミオに「ジュリエットが死んだ」と嘘をつくことですね。ロミオのことが大好きだけど許せなくてそれでも拒絶しきれないベンヴォーリオの取った行動なんだけどフォロワさんが言ってたけどほんとそのまま幼馴染クソデカ感情の拗らせでしかないんだよ。いやこんなのアリなの?って感じだけどアリなんですね、ロミジュリ、奥が深いです。
ロミオに親友以上の好意を抱いているという解釈するのってベンヴォーリオとマキューシオ、どちらかと言えばマキュのイメージの方が強かった(シェイクスピアの解説でもこんな説があるよって話聞いたことがあった)のでこの気持ちを持たせるのをベンにさせたのは新しかったしこれはこれで面白くなりすぎててありよりのありでした。私は好きだった。マキュに「お前はロミオのことどう思ってる?」って聞かれて「…ん?…しん…ゆう…??」みたいな含ませた答え方するの、ほんとにベン…って頭抱え始める。そしてダンスホールでジュリエットと話すロミオにティボが突っかかっていったのを一目散に止めにいくのはベンで。ベンはちゃんとロミオのことを見てロミオを守ろうとしてるんだね… さすがにロミオの手を取り踊りだそうとした時は驚いたぞ……
マキュに「俺が死んだら泣いてくれるか?」って本気で聞かれた時にはマキュが死ぬことになるなんて万が一にも思ってないだろうなら「悪友じゃん俺たち」って答えるけどちゃんと優しい心を持ったいちばんの親友思いな奴なのがベンヴォーリオなんだ。マキュが死んで一晩中涙を流し、そんな中ジュリエットの元に一目散で飛んで行ったロミオのことを責める。ベンヴォーリオは飄々としていて賢いからこそ見えない部分もあるけどめちゃくちゃ優しいし友達思いだしそれでいて決断力もある。だからロミオを責め、自暴自棄になってロミオにジュリエットが死んだことを伝え、毒薬を渡すんだ。これが決闘の時、何もできなかった自分への戒めのように。そして最後泣きながら"生きる"選択肢を選ぶベンヴォーリオが格好良く見えた。
このロミジュリのラストシーン、墓場でタキシードとウエディングドレスに身を包むロミオとジュリエットがいる傍らで白い服を着た人たちがみんな死んでいく中1人真っ黒の服、そして街に弾け飛ぶ火の粉血しぶきを交わすように黒の傘を差して表情もない真顔で出てくるベンヴォーリオを見て、この物語はバッドエンドなんだと教えられました。ロミオとジュリエットの死によりモンタギューとキャピュレットの戦いが終わったわけでもなく、地震の混乱でみんなが死んでいく。その様をベンヴォーリオがただただ見ている。この黒と白の対比もあるけど幸せそうなロミオとジュリエット、それを祝福するマキュとティボと対になるように現実を見続けるベンに同じ世界にいたはずなのに住む世界が変わっていることを突きつけられて本当に最後辛かった。
カテコの集合写真にはどんな意味があったんだろうって考えてるんだけど、ベンがめちゃくちゃ嬉しそうに笑ってるんですよここ。笑ってるの。もしかしたらみんなが天国で再会できた集合写真なのかなって思ってます。ベンに幸せな未来が来ますようにとただただ願うばかり。




マキューシオ - 元木聖也

ずっと自分の居場所を探しているマキューシオだったな。
喧嘩っ早いのもティボルトに向かってわーわー叫ぶのも全部自分はここにいるんだよ!誰か見て!って誇示しているようで辛かった。
モンタギューが孤独な少年の集まりだったからっていうのもあるし、ロミジュリの大公に位置するカラスはティボルトの叔父ということもありマキュがモンタギューにいられるのはロミオとベンヴォーリオと幼馴染だったからっていう理由だけなんだろうなっていうのをずっと感じてた。それでいてベンがロミオのことを見ているのをマキュはうすうす肌で感じていたからベンに本気で「俺が死んだら泣いてくれるか?」って聞くんだよね。ちゃんと自分のことも見てほしくて、ベンの世界にロミオの世界に自分がいるのかちゃんと知りたかったんだろうな。存在証明のために叫び飛び回っていちばん暴れることしかできなかったんだろうなあ。
決闘でも何にも知らないのはマキュだけで。ただただティボに売った喧嘩をしに行くのがマキュなんだよなあ。ロミオとジュリエットが結婚することも知らされてなくてティボの抱える闇も知らずにいつもの喧嘩に決着をつけにいく。ただそれだけ。親友のはずなのに知らないことに対しても今までの俯瞰したようにマキュを見ていたロミオにも怒りが募ってあんな最後のセリフになっちゃったんだろうな、もっと伝えたいことはあっただろうに。ロミオの中に"後悔"という感情としてマキュのこと残しておきたかったりしたのかな、知らんけど。人はプラスの感情よりマイナスの感情の方が深く刻みこまれたりもするから。それでもロミオが一目散に駆けていくのはジュリエットのところで。マキュの最後の望みは儚く散っていくのかなと思うとマキュほんと辛くてたまらん。「俺をダンスホールに連れてってくれ、明日」ってマキュはずっと明日を見ていたし未来を見ていて生きたかったんだろうなって考えさせられてしまう。
死んだ後の世界でマキュとティボが2人笑ってそしてロミオとジュリエットのことをお祝いできたのほんとに良かったな。お祝いができるマキュとお祝いができないベン、ここでも正反対の表現でまじでこのロミジュリ最後まで容赦がないな…




ティボルト - 高橋努

どうも、ティボルトのおたくです。
私、薄々感じてはいたんだけどやっぱりティボルト大好きでした。原作というか、シェイクスピアのティボルトは少しは肩の力抜いたら?って気持ちの方が強くなっちゃうのであんまり好きにはなれないんですけどティボのキャラ(バックボーン)設定が増し増しになればなるほど好きの気持ちが大きくなって結果ティボのおたくしてます。
高橋ティボ、冒頭はとにかく態度がデカくてガミガミ怒鳴ってちゃんと嫌いになれそう(褒めてる)だったんですよ。まあ左脚が義足だったから何かあるな…とは思っていたけど。想像していた以上に何かありました。簡単に説明すると戦場で左脚を失い、傷病兵を看護する方に回ったのだが戦争が終わりまだ生きてる傷病兵たちを連れて帰ることはできないので殺さないといけなくなった。そこで殺してしまった傷病兵の1人が身寄りのない小さな少年でティボに懐いていて、死ぬことがわかっていながら最後に微笑んでくれたことが頭から離れなくて。ティボは帰ってきてから毎晩魘されているっていう過去を決闘前にティボ自らが話をしてくれます。非常に辛いです。そして今までのティボの行動の全てが線になり決闘を迎えます。
何が辛いってまず戦場で殺してしまった少年がモンタギューにいるような少年だったからティボはロミオやベン他モンタギューの仲間そして何よりマキュをいちばんに重ねてみていること。マキュの笑顔=少年の笑顔だから、見ていられなかったんだろうな、だからわざと敵に回すような行動を取ったり暴言を吐いたり。優しくされるとより自分の罪を感じてしまうから。それかマキュの笑顔を見られないのは自分の宿命なのかもしれないと感じていかもしれないしなあ、知らんけど。だからモンタギューの敵に回る。定職に就か(け)ないのも負い目があったからかもしれないなって考えるとめちゃくちゃティボ辛すぎるな…
決闘前にソフィアに「(マキュのこと)少し傷つけてやるくらいだ」っていうの、ティボの本心だと思っていて。また同じ過ちを犯さないことだけがティボのできることだったから。ここの決闘、マキュもティボもお互いナイフ仕込んでないんだよ、白熱したキャピュレットの1人がティボにナイフを渡すの。そのまま抑えられなくてマキュのこと傷つけてしまって勢いで殺してしまうんだ。マキュを刺した瞬間のティボの目、あまりの動揺と混乱に手まで震え出して必死にマキュのこと起こそうとするの、辛すぎる。ティボはマキュに生きててほしかったしこれからもいがみ合っていたかった気持ちをひしひしと感じて。そんなことしてたらロミオがマキュを刺したナイフでティボのこと傷つけてるし。ただロミオも自分のとった行動に困惑してるから傷ついたティボを前に動けなくなってしまっていて。そしたらティボ、少し嬉しそうに、やっと解放されるような顔をしてロミオの手にあったナイフをそのまま自分に刺すんですよ……… え、あまりにしんどすぎてこの瞬間言葉が出なくなり、そのまま私の思考回路は停止した。ティボはモンタギューに殺されるなら文句はなかっただろうから天から巡ってきたチャンスとばかりにロミオの手にあるナイフにしがみついたの。ヤバヤバのヤバ。あまりに自分勝手ででも今まで縛られていたものからの解放の喜びみたいなのも感じておいティボルトそれはずるいだろ!!!!!と咀嚼すればするほど叫びたくなっている現状です。
ティボ… この人も過去におけるクソデカ感情を引っさげていたね、しんどいね、辛いです。好きです。

そうそう、あと今回見て感じたのはティボとジュリエットの関係、兄妹にすることによってよりジュリエットを守るようになるのかな?と思いきや私個人の印象としてジュリエットへの固執という感情は抱かなかった。それよりジュリエットに好意がある方がめちゃくちゃ固執するのでそれによって決闘の意味合いが変わってくるんだな、というのは新しい発見でした。ほんとにロミジュリは楽しいティボはしんどい。






吐き出したい気持ちを整理しながらまとめてたら予定通りに進めば今日が東京公演千秋楽の日でしたね。
他にも書きたい人いたんだよ〜ソフィアとかカラスとかロレンスとか。でも咀嚼しきれないのでここまで。


ほんとにとにかくとにかく「泣くロミオと怒るジュリエット」めちゃくちゃ面白いので予定通り大阪公演の幕が開く予定ならたくさんの人にみてもらいたい。そして感想を落としてください(ティボの感想待ってる!)私が喜びます。