落とし物箱

出会っちゃった人たちの話がしたい

リーディングドラマ ロミオとジュリエット




新しいロミジュリに触れてしまったと言ったら良いのか、今までの解釈がひっくり返されてしまったと言うのが正解か。軽い気持ちでチケット取ったらすごい勢いで殴られてしまった。どうせ長々と吐き出すならここだよなの気持ちで勢いで書き始めている。ちゃんと長くなったよ。


ロミジュリ、数としてはそこまで見ていないんだけどそれぞれの作品で毎回食らっては溜め息をつき頭を抱えながら帰るハメにされ続けている戯曲だったりしている。正確にいうと脚色されたロミオとジュリエットに。今回の朗読劇松岡和子版原作準拠でいくんだろうなとたかを括っていったら思っていた以上に脚色があってびっくりしたのと同時にあまりにも私向けのロミジュリだったので頭を抱えてしまっている。こんな予定では!!!!なかった!!!!!!


うめつが朗読劇でロミジュリをやると聞いて、さすがにこれは観に行かなきゃだよなと思いチケット取っていたし万が一何かがあったときの保険の気持ちで2日とも取っておいたの、今回ばかりは自分を褒めたくなった。あれをまた明日見るのか?はさすがに初日入って思いはしたけど今回も例にもれずほぼ記憶がなくなってしまったんだから、まあ見るしかないの結論にしか辿りつかなくなってしまう。そしてうめつロミオしか見れなかった後悔というか完全に亜種だったので村井良太か小西詠斗のロミオ見ておいた方が良かった気持ちしか今はもうない。今後ロミジュリやることはないだろうし~的なことを言っていたのもあったしほんとに軽い気持ちで行ったのにロミオのイメージがガラッと変わってこんな解釈があるんだな!?というのを見せつけられてしまいぼろぼろ。


ということでちょっと話していきたいんだけど現段階で清書前の箇条書きが5000字を超えている、おかしい。ここにして良かったね、好きなだけ書いていいみたい。ありがたい。書きます。


ロミジュリ本編の話をする前に今回両日ともビジュアルがすごすぎた、というか美しすぎた。なんで白?なんで黒???初日の白ロミオ、頭10分強というか肉眼で見るたび双眼鏡でみるたびなんで白なんだろう、というかビジュアルすごくない??????真っ白のトップスと黒のパンツ、黒髪の対比があまりにも綺麗で照明との陰影まで絵に描いたようだった…… 照明が当たっている時顔は綺麗でグギギとなるし、スポットライトから外れた時には薄明かりの中目元が影になっているのも綺麗だったし、黒の日は前髪の影が顔にかかっているの、本当に綺麗だった。綺麗しか言ってないおかしい、綺麗すぎた、バグか!?!???黒は黒でも生地感はラフなもののちょっとかっちりしてそうなイメージを持たされてしまうのはあの形かな、わたしの原点ロミジュリは2018年の東宝版ロミジュリなのでデニムはいててそれだけでダメになってしまった。モンタギューのイメージはデニム地だからと思ってたんだけど全身写真みたらあれデニムじゃなさそうだったな?まあデニムと思ってしまった時点でもう私の負けなのかもしれない…………


もうビジュアルの話したって仕方がないので本編の話。
マキューシオと話をしているロミオが自然体なの好きだった。ロミオは自分のことで精一杯でマキューシオに対して少し面倒くさそうにしていた印象が今まであったので、ちゃんと真正面から話ができているの良かったな。今回ベンヴォーリオがいなかったこともあってその役割をマキューシオが担っていたのもあったかもしれないけどそれでもモンタギューの関係性って大切だと思っているから、町田さんのマキューシオとうめつのロミオ、良い関係性だった。冗談を言い合えるような仲というか、お互い何を話ししているのかわからずぶっ飛んでいてもそれを笑い合えるような仲、ちゃんと友達じゃん。


ロザラインに首ったけのロミオ、それだけでやっとんなあという感じだったのでなるほど今回はその方向性と思ったらジュリエットに出会った瞬間輝きが変わってそんな予定ではなかったのですが!?!?!?で私の困惑が始まる時間となってしまった。ジュリエット、木村美月ちゃんは素朴で純粋な田舎娘って感じのジュリエットで大西桃香ちゃんは世間知らずで反抗期っぽい女の子って感じしたな。2人とも可愛くてロミオに夢中になってからのちょっと面倒な女っぷりも良かった。木村美月ちゃん虚構の人だったからかなんだか伸び伸びやっているな〜は思った。
おしとやかで口数少なそうなのにロミオに一切話す時間を与えないの色々通り越してわくわくしちゃった。ひとつひとつの言葉に対して反応しようとしてできないロミオを見ていたからかもしれないけど、それもお互い様だったので。おしゃべりなジュリエットだしおしゃべりなロミオだった。この辺14歳の女の子と16歳の男の子に2人とも一気に戻っていくの、子どもなんだよなと思い出す時間があったりしてた。
割と全編通してらしいなとは思っていたんだけどジュリエットとパーティーで出会った時のロミオはよりただのうめつだったんだよな、コント?の気持ちになったけどもう手癖みたいなもんだし、と思っていた私はラストでめちゃめちゃに殴られるんですこの時はそんなこと全く思っていなかった……… 一目ぼれの瞬間こんなにわかりやすくて、だんだん早口になっていき、はやる気持ちを抑えられておらずこんなうきうきした姿を見るとはな… でうきうきするとロミオは内股になる、楽しくて幸せな気持ちをなんとか消化するために膝を擦り合わせていた、なんでそういうことを…する………???ジュリエットに出会ってからのデレがすごかったのでこの男にロミオってこうやって見えてるんだなって気持ちになっていた。
テンションが上がった時に声のボリュームが上がるのは良いんだけどあまりにも突然投げられる声量すぎて花火の特効並みにびっくりしてしまう、そろそろ慣れたい気持ちあるんだけど、何回見ても新鮮に反応してしまう。し「薔薇という名の花は名前を変えても美しさはそのまま変わらないから、ロミオもその名前を捨てて」を聞いてこの美しさだけが残るのかってさすがにグギギしてしまった。梅津瑞樹の美しさ、すごいけどこれも全然見れるものにならない。 ただ残された美しさは間違いなく美しいものだったからもうなにも反論ができない、完敗すぎる。


ロレンス神父にジュリエットとのことを話して聞かせるロミオは完全にオタク特有の早口であった。ロミオ、陰キャまでいかないけどその節を感じさせるようなオタクっぽさはずっとあった。のめり込む対象がいるとちょっと気持ち悪さみたいなダサさがあった。


底に秘めてる自分でも見えているかわからない感情が垣間見えては消えを繰り返していたものがマキューシオが死んでロミオの中にはっきり見えるようになっていた。マキューシオとの関係性が対等に感じたからこそティボルトへの復讐心も綺麗に繋がっていたし、ここで自分の取った行動に対して後悔していることがなかったの好きなポイントだった。ジュリエットとのこれからに関してはこの時は全く頭になかったんだと思う、この時にはこれから待っているのは死刑だと思っていたからこそできたのすら感じてしまっていた。そして言い渡されたのが追放だったから取り乱して床に転がり嘆くしかできないロミオ、このシーンみながら朗読劇で助かった〜の気持ちでいっぱいだった。床に転がって暴れられてるのなんて見ていられるか。「ハエには許されて僕には許されない」が響いたの初めてだったし「ヴェローナの外に世界なんてない!」って叫ぶロミオ、全てを与えてもらっている状況でジュリエットを手にした今全部を手放さないといけない現実に完全に八方ふさがりになっており、小さな世界しか知らないのを見せつけられて頭を抱えてしまった。世界は広いのに…ロミオの世界は小さい…………… それをやっているのが梅津瑞樹なんだもん、良くなさすぎる。
なんとか説得されロレンス神父との別れを惜しむことができて挨拶ができるのもそうだしマキューシオだったりティボルトにも全員に感情のベクトルが向いているロミオみたの初めてだった。この辺りでガラッと印象が変わったんだよ。それができるだけでちょっとした疑問点が浮かんでこなくなるの単純にすごいんだよな、芝居が上手い。そう思うと今まではその辺のいろいろが気になってしまったからこそロミオ苦手だったのかもしれないな、などという気づきを得るなどしていたりもした。うめつロミオ、盲目なんだけど視野は広いという矛盾があるけど全部綺麗なんですよ。


2日目ジュリエットの部屋で過ごす2人に歌があったなんて知らなくてびっっっっっくりした、突然の歌、幸せの時間を感じさせるような詞だった。そして朝の別れのシーンもめちゃくちゃ良かった。「雲雀ではない」というジュリエット、「そしたら離れたくないからここにいよう、そして僕は殺される」「違う、これは雲雀よ!」のやりとりすごかった。そんな別れあってたまるか。ロミオは自分が死ぬことに関しては何の気持ちもないんだろうなというのを感じてしまっていた。ほんとに呆気ないほど「ここにいよう」が幸せそうでそして軽かったんだよ。梅津瑞樹の芝居ってなんなんだろう。


パリス伯爵との婚約を勧められたタイミングで乳母の主張が変わる流れが腑に落ちたことがなかったんだけど、今回綺麗に描かれていた。描かれていたというかマリーさんの芝居ヂカラだった。ジュリエットのことを第一に考えたときにその答えしか乳母は言えなかったんだよなというのを感じてこの瞬間に浮足立ってしまった。すごかった。思案して、ジュリエットの幸せをいちばんに考えるとその答えしか出てこないのはわかるんだけど、あまりにも唐突だったのが思案してなんとかこの答えになったの、解像度が上がった。そして乳母に対して一瞬で態度を変えられるジュリエット良かったし、乳母の言葉に対して聞こえるか聞こえないかのような声で「そうなりますように」をいうジュリエットはいつ見ても好きなシーンだな。


マントヴァでみた不思議な夢、ロミオは死んでいてジュリエットのキスで命を吹き込んでくれる話、これをラストどうなるかわかっているのにこんなところで入れられるのさすがに死ぬんだよ私が!!!夢はマブの女王が仕組んだもの、全ては幻(ニュアンス)みたいな話をジュリエットと出会う前にマキューシオと話をしていたの、シェイクスピアの脚色として好きだった。いや、夢、正夢かもしれないのに。これって原作にあったかもしれないけどちょっと覚えてない。
ジュリエットの死の報告を聞いて一気に変わる感情の轟き方。感情の露出が特効すぎる、何回みてもダメなものはダメ。そこから薬屋を見かけたことを思い出し、底から振り絞って出たような妙案に少し心を躍らせつつも本当の死に向かって歩を早めているロミオ。薬屋に毒薬を売ってもらうための理詰めが向かう先はひとつなことを感じさせられていた。「君の貧乏からこの毒薬を買ったのではない、僕が売ったのだ」の台詞に死の道に進むのは自分だけで十分な気持ちを感じていた。
パリスと霊廟の外で会って刀を交わらせたあの時ですらロミオが負ける気がしない迫力があり、障害物にすらこのロミオにすらならない。その気なら売られた喧嘩買うけどその時の殺意100%なんだよ。ロミオはパリスと認識していないけど、それがパリスと知ったとき、悲劇の話の登場人物に名を連ねることになるな(ニュアンス)をいうロミオの冷静さと残酷さ、そして彼に見えている結末はひとつしかないとしても、だとしてもこれから起きることを想像して頭を抱えてしまった。
ジュリエットの姿をみたとき美しさに惚れ直すロミオ。ほんと…これだけのために生きていたの思い出させられてしまったし変わり果てたジュリエットの姿に悔しさがいっぱいだった。今までみていたロミジュリってどんなに変わり果てた姿でも会えたこととすぐにジュリエットのもとにいける嬉しさの方が大きい印象があったから、こんなに悔しさと哀しさでいっぱいで、死ぬことがというよりジュリエットの隣で死ぬことが嫌そうなロミオを見るの初めてだった。ロミオが望んでいたのはジュリエットが生きていることで、願わくば一緒にこれからも過ごすことで、すぐにジュリエットの元に行けるからってその場所が死後の世界だなんて少なくともロミオは願っていなかった。そっち側にいくとすれば自分の方が先にいくと信じて疑っていなかったからこそジュリエットの亡骸をみたときのやりきれなさもあって。毒薬を飲む瞬間解き放たれたようでもあったし今世に後悔を残しているのは確かで、ジュリエットに最後触れながらではあったけど薬の効き目を感じている途中でスッと声が途切れて死んだ瞬間の後味の悪さ、こんなに感じたことなかったよ????やり残したことがいっぱいで死にたくない気持ちを感じながらみるロミジュリは初めてだった。ということに気が付いたのも2日目をみてからなので1日目はほんとに何が起きたのかすらわからなかった、もう嫌だこんなになるなんて思ってもみなかったよう…………………


そう、霊廟でティボルトの亡骸?をみながら死んでいく描写があるの好きだったんだよな、そこでティボルトにかける「君の敵は僕が自分の手で葬る(ニュアンス)」の言葉の悲観しきった感じと自分のことを第三者的に話ができているのすごかった。そしてジュリエットもそんなようなことを夢か薬を飲む前かに話していたのでジュリエットの正夢をロミオが体現しているかのようだった。マントヴァでみた正夢の逆。全部が綺麗で全部がずるい。
今回ベンヴォ―リオが出てこないロミジュリだったからこれはこれで誰も若者が残らないヴェローナ、次に生まれてくる新しい命はこの憎み合いの感情を抱くことなく育っていき、その子たちにロミオとジュリエットの話が語り継がれていくんだなと思うと次に生まれてくる子供たちにとっては綺麗な恋愛の話になるのかもしれないと思ってまたそれも残酷で。ラストは戯曲通りの「数ある悲恋の中でもロミオとジュリエットの物語ほど痛ましいものはない。」で締め括られる。この言葉をこんなに言葉通りに受け取るロミオとジュリエットなんて存在するんだな、なんて感じていた。


とにかくここまでロミオの解像度が上がると思ってなかった。そもそも私はロミオをやるタイプの人間を好きになったことがないのでどうしたってロミオを真ん中においてこの作品を見れてこなかったんだろうなとは思う。これが正解のロミオか?と聞かれると違うのはわかるし私はこのロミオを亜種だと主張しながらも結局は暫く引き摺り続けるよ。数ある悲恋の中でもロミオとジュリエットの物語ほど痛ましいものはないが体現されてしまったので。


はぁ〜〜〜それにしてもめちゃくちゃ芝居の上手いロミジュリを目撃して、しまったな……… ロミジュリだから若い人間がやることがほとんどというかそういう作品なので、このタイミングでこんな技術で殴られる時間があるとは思わなかった………… 楽しかったかはわからないけど良いものは、見れたと………思ってるよ………………