落とし物箱

出会っちゃった人たちの話がしたい

GHOST 〜ほとんどカールのお話〜

 

 

GHOST、後半戦入りましたね。

1ヶ月のシアタークリエでの公演。もう半分終わっちゃっただなんて… あまりにも時間の流れが早すぎる。

 

 

個人的な感想なのと見方等偏りすぎてます、あとネタバレします。*1

 

 

 

今回も結局開幕してからチケット何枚足したかわからないんですけどとにかく楽しい。物語がしっかりしてるのはもちろんなんですけど個人的にはもう単純に平間くんのお芝居がすごく好きなんだろうな、、毎回違う姿見せられるから頭抱えてます。私は果たして天国に行くサムを何回気持ち良く見送ることができるのだろうか…

 

 

色々考えた結果、GHOSTのお話は誰かと誰かのお話というよりは、サム、モリー、カール、オダメイそれぞれのお話なんだな、という結論にたどり着きました。サムとオダメイはセットかもしれないけど。

サムは(主役なのでもちろんなんですけど)ずっと物語の各シーンに出続けて。また彼の気持ち、言葉って実際には届かないからこそ全部言えるっていう武器を持ってる。全部言えるからこそ答えがわかるし安心して見ていられる、物語がしっかり軸に沿って安定して進んでいく。オダメイに声は届くからやり取りはあるけれど1人で探って真相を掴んで、モリーの側に居続ける。オダメイとも声でのやり取りだからなんかこう…関わってるっていう感じがしなくて。

モリーもサムを失ってから1人でお家に引きこもって。カールが側にいてくれるんだけど、サムへの気持ちが強いから1人でいる印象が強い。

カールはみんなが知らないところで1人いちばん大きなものを背負ってしまったんですよね。ただそれは誰かと共有できるものではないから抱え込まないといけない。

それぞれがそれぞれの人生(1人は死後の世界)を生きていて交わることはあるけれどそれが少ないからこそ1人1人をしっかり見ることのできるお話なんだな、と。

 

 

 

毎回気がつくとカールを目で追ってしまってるので基本カール目線でしか見てないです。私今まで前半戦から中盤で4回入ったんですけど1回も同じカール見たことないんですよね。カールってバックボーンが物語の中には出てこない。空白が多いからこそ正解がないんだなと回数重ねて感じました。だからこそ、色んな解釈に持っていけて、毎回少しずつ違って面白い。

 

開幕前のインタビューを見てたりすると、原作とは違ってただ単に"悪い奴"にしたくないっていうことをすごく考えて作っている印象で。実際初日観た時には全然悪い奴に見えなかった。だってOPの3人のシーンとかカップルとその友達がひたすらわちゃわちゃしてる可愛いシーンだし!OPのシーンめっちゃ好きなんです、カールさん1人だけ置いてけぼりなの可愛い… また家出てから少し寂しそうな顔してハケていくところまで含めて可愛い。仲間はずれじゃないけど、インタビューで言ってた「僕もそっちに行きたいけど行けないんだよ」っていうのがすごく出てるなあと感じます。

 

初日近辺*2にみたカールさんはほんとに弱くて弱くて。これ始まったばっかりで大丈夫??千秋楽まで立ってられる!!??ってずっと心配してました。それくらい弱い人で。。だって、ずっと怯えてるしすぐ泣くし怒ってるのも焦りからくる怒りだからなんかもう見てられなくって。自分で蒔いた種に自分が振り回されまくってるから。気がついたら薬の売人と知り合いになって、その人がカールが銀行マンだって知ったから上手くそそのかしてカールに銀行のお金を横流しさせたのかなあと勝手に考えておりました。カールさんも上手い話だと思って軽い気持ちで乗っかっちゃったんだろうなと。軽い気持ちでお金が手に入るなら、と思ってやったことが親友を失くすことになって、そこまでしたのに結局お金すら手に入らなくて。全てが空回りしてるっていう印象だったんですよ。そう、だったんです。

 

1週間明けて*3見たら私の知ってるカールさんは面影しかなかった。面影はまだあった、って言った方がいいのかな。だんだん"悪"の面が濃くなってきたんですよね。しっかり自分の背負ってしまったものの大きさを理解した上で行動しているカールになってて。ただ理解はしているんだけどまだ抱えきれてはいない状態で。だからカールと取引してる人に次の指示もらってから携帯握りしめて泣いちゃうし、悔しそうにしてるし。色んな感情がこの1つのシーンから溢れ出てて、カールを不意に支えたくなってしまう。きっとこの荷物を抱えきれていないところに人間味を感じているからここはずっと残るんだろうな、と思う。

その後のこれが人生の歌詞でも"これは誤解なんだ"ってずっと言ってるしね。サムを失ったことの後悔が大きな荷物をより重くしてるんだろうな。こういうところが人間らしさとして残っていてまだ弱いな。と感じるんですけど物語後半ですよ。

サムからの怪奇現象のシーンでサムだってわかってから笑い転げながら「サムか、サムの仕業なのか」って言ってるの見てついに狂った!と感じたんですよね。カールのやった悪いことが積み重なってきて、それが初めて降ってくるところ。壊れたように狂い笑うカールをみて鳥肌が立ちました。完全に私の好みなんですけどこれもの凄く好きで。その後モリーの家でオダメイ見つけたときの真顔での「あんた誰だ?」からの笑いながら放つ「ああお前が霊媒師の女か」までがあまりにも狂ったように言ってて思わずそれ!待ってたー!!って叫びそうになった、いや、心の中で全力で叫んだ。

「あなた小切手がどこにあるか知ってますよね?」って敬語使って畳み掛けたときにはもう…(言葉にならない) 敬語って一周回ると命令口調よりも怖く感じることをまた改めて感じさせられた。この日は狂気っていう言葉がいちばん強く感じるくらいにお金が欲しくて狂ってたなあと。

 

また何日かあいて*4見たら今度はすごく"孤独"なカールさんがそこにいて。こんな解釈もできるんだ!とびっくりしました。

OPからなんか疎外感ではないけれど、少しだけサムとモリーの間に入りきれていないような感じに見えて。この違和感はなんだろうと思っていたら全体を通して腑に落ちた。今日のカールさんはずっと1人だったんだ、と。サムを殺してしまったのは事故というには簡単な言葉すぎるけどカールの計画にはなかったことで。ただ殺してしまったらそのルートで計画も立て直さないといけないわけで。その計画がしっかり立てられてた。遺品を整理している時にアドレス帳を見つけて、それとなくパラパラいつもめくるんだけどこの日は勢いがすごくて。モリーに見せて、って言われてちょっと渡すの惜しいような感じもした。またふとした時に上げた目が鋭くて怖かったりもしたし。サムから怪奇現象を受けてもどこか冷静なところがあって。

そしてラスト。オダメイを追い詰めてる時には冷静な部分と焦りが強くて。モリーに対して「君に話してもわかってくれるはずなんかないもんな!」って言ってて誰かに理解してほしかった心の声が漏れてて。サムに追い詰められたら「モリー、待ってくれ、行かないでくれ、」ってモリーに助けを求めて。やっぱりずっと1人だったんだよね。カールが死んでしまってからゴーストたちの間をかけて出てくる時にゴーストに向かって「そんな目で俺のことみるなよ」って言葉聞いて孤独感が一気に溢れ出た。また弱いとも小さいともまた違う孤独。誰にも話せず理解もしてもらえないことをずっと抱えてたカールの本音だなあと思ってみてたら気がついたら地獄に引きずり込まれてた。サムにずっと悪いことをしたって気持ちがあったからこそ、ゴーストになってからもサムの方を向けなくて。サムに「カール!」って呼ばれてやっと見られる。それでも目は合わせられなくて違うんだ…お前を殺すはずじゃなかったんだ…って。あまりにも想像を超えるカールがそこにいて。カールってどんな人なんだろうか、とまたわからなくなりました。

 

 

あまりにも毎回違いすぎて残しておきたかったのでこんな書き方してみたけど、バックボーンが見えないからこそ、その日に持ってくる表現の仕方で受ける印象がここまで変わってくるの面白いな、と感じる。

 

 

モリーとカールの関係性もまた変化というか、様々で。カールがモリーに対している居方だったりかけてあげる言葉だったり。モリーのサムへの気持ちの大きさも関係してくるんですけど、カールの言葉がモリーに真正面に刺さって頼りたくなるくらいすごく格好良く見える日もあれば、あまり刺さってなくてただモリーが上の空なまま時間が過ぎて行くような日もあって。モリーを手中に入れておきたい思いで側にいるような日もあれば、ほんとにサムを失くしたモリーにしがみついてもいいよ、と手を差し伸べてくれるような居方もする。

今のところ、モリーにあまり刺さらない日は弱い日が多くて、だからこそ、全てが空回りしてしまってラストを迎える。対してモリーに刺さってる日は狂っていくことが多くて、モリーを支える器が大きくて格好良いからこそお金欲しさに狂っていく対比がすごく好きだ。これはあくまでそんな気がする、程度の話だけど。

 

私はカールがモリーへ好意があるのかないのかがよくわからない。親友の好きな人だから好き、なのか、好きな人、なのか。どっちにしろサムがいて、きっとサムとモリーの出会いから全部見守ってきたからこそモリーの近くにいて、支えてあげたい気持ちがあるのは事実なんだろうけど。今ここで、をどんな気持ちで伝えているのかがわからないことが多い。ただ一度だけ本当に頼りたくなるくらい大きくて優しい目をしたカールさんを見て、その時だけはモリーに好意があるんだろうな、と初めて感じた。それ以外は、モリーに刺さらないからなのかもしれないけど手中に収めておきたいって気持ちの方が大きく見えてしまうんだよなあ。私の勝手な感じ方なんですけど。

それにしてもここで脱ぐのってほんと…ほんと反則。引き締まった平間くんのお身体大好きなのでありがとうございます!!ただちゃんとボタン閉めてくれるようになって安心したのと帰る時にしっかりブルゾン羽織ってから家出るようになってくれて安心したよ… 初日色々やばかったから…

 

 

そしてここの今ここでの中とあと怪奇現象あたりを見てカールさんが本当にモリーを殺せるか殺せないかが見えてくると思うんですよね。

もちろん初日近辺はサムに脅しでモリーも殺せるぞ!って言うんだけど自分の手を汚すことは絶対にできないカールだったしまずモリーを殺せないと思ってたんです。二本脚で立てないんじゃないかと心配になるくらい弱かったしね。

ただ頼りたくなるくらい大きくて優しい目をしたカールさんの日はこの人もしものことがあったらきっとモリーのこと殺せるな、と思った。優しいってすごく大事なことだと思うんだけど、ヒール役の優しさって裏に隠れた企みが優しさに比例するように大きく渦巻いているときってあるじゃないですか。まさしくその日がこれで!なんだろう、すごく頼りたくなったし、しがみつきたくなるカールなんだけど何か1つでもピースが崩れた瞬間にその優しさが全て崩壊するような脆さがあった。だからこそ見ていてわくわくした。ああゴースト楽しいよ。こんなカールさんを待ってたところがあったからあまりにも好きがすぎた。これ8/14ソワレのお話なんですけどいちばん好きなんですよ、映像に残して欲しかったくらい。ちゃんとヒール役として存在できていた。

 

8/14ソワレ大好きすぎてこの日の話いくらでもできそうだからこの辺でやめておく。結局私はこの優しさの裏に崩壊してしまいそうな脆さがみえるのが好きみたいだ。それから崩れ落ちていくように狂って笑って拳銃構えてモリーとオダメイを追い詰めていくので最高だったんだ。最後死ぬ間際に極め付けで「モリー、俺には君しかいないんだ」って言葉まで残していったからね。ああモリーのこと大事に思ってた終着点が見えたよ。

 

 

ということで私の前半戦カールさんのお話でした。

また他キャストさんのお話は千秋楽迎えてからゆっくり書きます。

 

あとあれね、これからゴースト見る方たちに是非注目していただきたいポイント。それはラスト拳銃を構えるカールさんの腕の筋です!引き締まったお身体と同じくらい興奮できるよ!!よろしくお願いします!!

 

 

それでは残り2週間。また新しいカールさんに出会えるの楽しみにしながら日比谷へ足を運ぼうと思います

 

 

 

 

*1:注記に関しては自分用メモで観劇日の記載ですので特に大きな意味はありません

*2:8/5、8/7ソワレ

*3:8/14ソワレ

*4:8/19